丸くのっぺりとした顔が真冬の寒風が吹く中、展示会場を訪れた観客を温かく迎える。小さくくりぬかれた細い目、丸々とした短い手足、薄っすらと赤い頬。
寒さや厳しい世相にすっかり凍りついた心をそっと温めてくれそうな人形の数々。ドイツで活動中の作家、金ヨンヒ氏が人形と共に再び韓国を訪れた。
『金ヨンヒ・コウゾ紙造形展』(17日~来年1月25日/ギャラリー現代)には、どこか懐かしい顔が並んでいる。
カボチャを抱きかかえた少年、熱々のホッパン(中華まん)をふうふういいながら食べる子供。少女たちは白いガチョウを抱きかかえたり、目を細めたまま花笛を吹いている。韓紙で作った赤いマフラーや、ピンクのスカートもほのぼのとしていて美しい。
人形たちの前で観客は、祖母に膝枕してもらいながら聞いた昔話や、母親に手を引かれて市場に行った時代など、目頭が熱くなるような懐かしい場面を一つ一つ思い浮かべるかも知れない。
『目の化粧だけする女』、『子供をよく生む女』などのエッセー集でも知られる金氏は、相変わらず黒いアイカラーに黒髪のボブカット、黒いカーディガンに黒いマフラー姿だった。
最初の夫と死別し、再婚した夫と共にドイツへ渡ってから約20年。三男二女の母親でもある金ヨンヒ氏は、来年には還暦を迎える。弁護士の長女が32歳、三男が13歳だ。
「最近では作業をする時は老眼鏡をかけなければよく見えません。時間は今まで以上にかかりますが、楽しさもそれ以上です。何度も見ながらゆっくりと作ります」
人形は針金で骨組みを作って紙を貼り、乾いたら再び紙を貼って完成させる。
人形の中に大人の男性が登場しない理由は「あまり美しくない」からで、人形を1、2体ずつ配置する理由は「人形が密集すると作品性が落ちる」からという。
金氏は「わずかな差で表情や雰囲気が幼稚になってしまいます。観客に素通りされたくはないのです。一つの詩のように心を表現して、また自然な表情が出るように眉毛の一本一本にまで気を使う」と語る。
金氏は久しぶりに訪れた韓国についてこう語った。
「韓国の人々は笑いも多く、歯に衣着せないところがありますが、それもすぐに忘れてしまう。非常に元気で瞬発力があります」
ソウルへ来る度に必ず訪れる場所は昌徳宮(チャンドックン)。「素朴でも、すべてのものがあります。謙遜の美学、無の美しさを満喫します」
金氏は「私が作った人形にキムチ、霧、気候、山の色などの韓国文化が自然と溶け込んでくれたら」と語った。問い合わせ(02)734-6111。