警官とヤクザが女性の奪い合いに 『ハッピー・エロ・クリスマス』


 ソン・ビョンギ(車太鉉(チャ・テヒョン)扮す)は温泉と歓楽の都市、忠清(チュンチョン)南道・儒城(ユソン)で生まれ育った新米警官。「温泉派」という暴力団の組長パン・ソクトゥ(朴ヨンギュ扮す)を監獄に入れることが目標のビョンギが、ある女性に片思いをする。

 相手はクリスマスの頃になると必ず失恋するというジンクスを持つ、ボウリング場で働くホ・ミンギョン(金ソナ)。パン・ソクトゥも同じように純粋なミンギョンに心を奪われ、組員まで動員してミンギョンに猛アタックを続け、ビョンギのライバル心に火をつける。

 『ハッピー・エロ・クリスマス』(17日公開)は、忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)を代表するコメディ俳優の車太鉉と女優の金ソナが共演するロマンチックコメディだ。

 映画はソン・ビョンギ、ホ・ミンギョンとロマンチストな暴力団組長、パン・ソクトゥの三角関係を軸に、ポルノ映画を撮る人々、セックスの幻想に取り憑かれた高校生など、さまざまな伏線を張り、クリスマスの雰囲気を演出する。

 クリスマスとなればラブホテルが満室になる歓楽都市の特性を活かして愛とセックスを衝突させたアイディア、映画『Love Letter』を観て目頭を熱くする暴力団員に至るまで、一様に心優しい登場人物、無理に笑いを作ろうとしない演出などが、観る側に負担を与えないコメディ作品を作り出した。

 『ハッピー・エロ・クリスマス』は誇張されたキャラクターや刺激的な話題ですべてを満たそうとする他の映画とは違った魅力を放っている。

 しかし、この映画はどうも落ち着かない。高校生やポルノ映画制作のエピソードの占める割合が少なくないにも関わらず、主人公たちとはあまりもかけ離れたままストーリーが進行する。

 また、車太鉉と金ソナをなぜキャスティングしたのかと思わせる程に二人の魅力を十分に活かしきれず、別のアクセントを加えたり、リズム感を活かすといったことも出来ていない。

 多くのキャラクターやエピソードをすべて活かしながら、主人公の比重と映画全体のカラーを保つのはやはり難しいことのようだ。

朴敦圭(パク・トンギュ)記者 coeur@chosun.com
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