2500回目の公演を迎える「マダンノリ人間国宝」尹文植

 マッコルリ(どぶろく)のように濁った声で、約1000人のマダンノリ(広場で行われる伝統劇や民俗音楽)の観客を圧倒する男。天性の才能とユーモアでマダンノリを25年間にわたって続けてきた大スターの尹文植(ユン・ムンシク)が、18日でマダンノリ公演2500回目を迎える。

 観客動員総数は約400万人。ギネスブックに登録されても不思議ではない数字だ。

 尹文植は今も奨忠(チャンチュン)洞の国立劇場の特設舞台で劇団美醜(ミチュ)の『マダンノリ李春風』(ソン・ジンチェク演出)の舞台に李春風(イ・チュンプン)役で毎日出演している。

 問い合わせの電話でも実際の公演タイトルより「尹文植のマダンノリ」と呼ぶ人が多いという。劇団は14日までの公演日程を2004年1月4日までに延長した。

 9日にインタビューした尹文植は「30代で『許生伝』をはじめ、今や60歳を過ぎた」とし、「マダンノリに青春のすべてを捧げた」と語った。  

 公演タイトルの書かれた看板には25年間、変わることなく共演してきた尹文植、金星女(キム・ソンニョ)、金ジョンヨプの三人の名前と共に「マダンノリ人間国宝」と書かれていた。

 驚くことに尹文植は過去2490回の公演中、一度も休んだり遅刻をしたことがない。ただ、2回だけ公演直前に急性腸炎で倒れたことがあったが、鎮痛剤を打って公演を終えた後に即入院した。

 「観客との約束は天命なのです。どうせ死ぬなら舞台で公演中に死ぬのが本望です」

 尹文植は「俳優ではなく役者と呼んでほし」という。「俳優はどうも人為的な感じがしますが、役者という言葉は響きがいいです。まるで民謡のようで。私が死んだら子供たちに、墓石には他の言葉は書かずに『面白い役者・尹文植、この世を去る』とだけ書いてほしいですね」

 尹文植も時には「マダンノリなんかやってられるか」と思う時もある。しかし、劇団の関係者は「本音はそんなことはない」と言い、尹文植も笑いながら話した。

 「そうそう、多分自分は一生これをやり続けるでしょう。よく『この女とはもう一緒にいられない』なんて言いながらも、結局は一緒にいるようにね」

 問い合わせ(02)747-5161。

金明煥(キム・ミョンファン)記者 wine813@chosun.com
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