テレビのチャンネルをあちこちと回していると、丁度いいタイミングでナレーションがつながる時がある。
例えば「クリントンはホワイトハウスでルインスキーと…」(ニュース番組)から「…重なり合っています」(動物ドキュメンタリー)に移る時などだ。まったく同じことが今年10月のある日の深夜4時、ソウル市・永登浦(ヨンドゥンポ)洞にあるコメディアン金サンテの30坪の広さのマンションで行われた。
『ギャグコンサート』の再編を控え、金サンテ、金ギス、オム・ギョンチョンが集まり、アイデア会議を行っていた。海外コメディーのビデオを観ていた金ギスが「まったく、ムカツクな!」と言いながらチャンネルを回した。その瞬間、金サンテが「おい!これだよ!」と膝を打った。
秋の再編以降『ギャグコンサート』の新しい看板コーナーとして定着した「4人4色」はこうして生まれた。
▲「4人4色」とは=金サンテは金ギス、オム・ギョンチョンに新人のオ・ジホンを加えて新たにグループを組んだ。動物ドキュメンタリー、ホームショッピング、口演童話、スポーツ中継を輪唱するように真似て、予想外の笑いを生み出した。
オム・ギョンチョンが「人魚姫が海辺の岩の上で」と言えば金サンテがドキュメンタリー風の口調で「とぐろを巻いています」といった感じだ。「白雪姫と王子様が…、…重なり合っています」、「魔女が姫に…、…タックルをかけています」
先月9日に初登場したこの奇抜なコーナーは『ギャグコンサート』の客席を笑いの坩堝に陥れた。
▲笑いのアイデアは空腹時に浮かぶ=座長を務める金サンテは今年初めに盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領のパロディでヒットするまでの5年間、無名だった。金サンテは「私のモットーは常にハングリー精神でいること」という。
「無名時代にはすべてを投げ出したいって思った時もありました。今ここで苦労するよりも別のところへ逃げたいと考える度に、『逃げるってどこに逃げるんだ?別のところへ逃げたらもっと苦労するだけだ』と自分に言い聞かせて我慢しました」
『ギャグコンサート』は弱肉強食の世界だ。メンバー全員が集まった席で新しいギャグを披露して仲間たちを笑わすことがきれば、公開放送の舞台でお披露目となる。
辛うじで舞台に立つことができても観客にウケなければ、すぐにコーナーはなくなる。金サンテは「冷たいでしょ?人生とは元々そういうものです」と語った。秋の再編を控えて金サンテは“スパルタ訓練”を行った。
レギュラーの稽古(午後1~6時)とは別に、深夜の“営業”がすべて終わる深夜1時に金ギスとオム・ギョンチョンを自分の家に呼んで、朝方の4~5時までアイデア会議を行った。
オム・ギョンチョンは「そんな生活を一カ月以上続けたが、体が辛いのは二の次で腹が減って仕方なかった」と語った。
「サンテ兄さんが『ハングリー精神からアイデアが浮かぶ』とブドウだけを食べて一夜を過ごしました。私たちに『海外のコメディーでも研究しろ』と言っておきながら自分だけ一人で台所に隠れてチキンを食べてるんですよ」
▲「両親が楽しく笑えるコメディーを目指します」=オ・ジホンは「人を笑わせる時、そして人を笑わせてもらった給料を母に渡す瞬間が一番うれしいです」と語った。オ・ジホンの母親は離婚後に家政婦などをして息子を育て上げた。
金サンテ、金ギス、オム・ギョンチョンも皆、貧しい無名時代を過ごしてユーモア感覚を養った。金ギスは「苦労して生きてきた大人たちが楽しめるコメディーが本物のコメディー」と語った。