俳優のソン・イルグクが17~19日の午後9時55分から放送されるMBCテレビの特別ドラマ『砂漠の泉』に主演する。日本の植民地時代末期から解放後を背景に、ソウルのラジオ局のバンド部でサックスを吹く好青年が、知的なアナウンサー(チャン・シニョン扮す)と恋に落ちる全3回のドラマだ。
青年は女性を愛すが、女性は親日派(李正吉(イ・ジョンギル)扮す)の息子と結婚する。
ソン・イルグクの祖父は“将軍の息子”と呼ばれる伝説的な人物、金斗漢(キム・ドゥハン)で、母親は女優の金ウルドンだ。
『砂漠の泉』のロケ現場で会ったソン・イルグクは、はっきりとした顔立ちによく似合う古風な洋服を着ていた。上品にチョッキまで着ていたが、「アクション!」の合図と共に、今にも上着をたくし上げて鍛え上げた肉体を見せんばかりの勢いを見せた。
ところがソン・イルグクは意外に口数が少なく内気だった。
「子供の頃に妹と『絶対に俳優だけにはならない』と約束しました。母が常に忙しかったので嫌だったんです。高校の時までは美大に行きたいと思っていました。ところが美大に3度も落ちて完全に落ち込んでいた時に、ある人から『演劇・映画学科に行って舞台美術を専攻したら』と勧められたんです」
しかし、ソン・イルグクが進学した大学の演劇・映画学科には舞台美術の科目がなかった。ソン・イルグクは「絶対に俳優になるんだという考えはなく、たまに友達が作る短編映画に出演したりして大学生活を送った」と語った。
ソン・イルグクと一緒に「俳優だけにはならない」と約束をした二つ下の妹がSBSのタレント試験に合格した時も、ソン・イルグクは動じなかった。人生の転機は97年に母が出演した時代劇『龍の涙』のロケ現場を訪ねた時に訪れた。
「柳東根(ユ・ドングン)さんがその場で、『私が君の立場だったら今すぐにでも俳優になる』とおっしゃったんです。その時、何か感じるものがあり、帰りにMBCのタレント公開採用に願書を出しました。母には何も言わずに一人で試験を受けました。合格したことを話すと、みんなものすごく驚いていました」
ソン・イルグクは最近終了したKBSテレビの時代劇『張禧嬪』で反張禧嬪の先頭に立つ西浦・金萬重(ソポ、キム・マンジュン)の孫役を演じた。ソン・イルグクの母、金ウルドンは同じドラマで張禧嬪の側近、権尚宮役を演じた。息子が上手く演技できないと悩んでいた時、金ウルドンはこう言ったという。
「私は生涯、演技一筋できたが、一度たりとも満足したことはない」
そして金ウルドンは俳優という職業について、「一言で言って答えのない職業」とアドバイスした。
「同じ役でも演じる人によって全くキャラクターが違ってきます。答えというものがないんです。撮影が終わる『カット』という合図が出る瞬間に、一度たりとも完璧にできたと満足したことはありません。
いつも『もっと上手くできたはずだ』とか、『こうじゃなくて、ああするべきだったのに』などと反省しています」