深夜のリスナーに語りかける 女優の辛愛羅

 「二十歳の頃は自信に満ち溢れていました。“クール”だったんでしょうね。これはこれ、あれはあれって線決めをして、線の外側のことはよく分かりませんでした。結婚して子供を産んで35歳になってみて、ようやく丸くなったんです。友達に『あの性格はどこへ行ってしまったのやら』と言われるほどなんです」

 辛愛羅(シン・エラ)がKBSハッピーFMの音楽番組『夜を忘れたあなたに』のパーソナリティを務めて1カ月が経った。

 毎日深夜0時から2時まで、独りラジオに耳を傾けるリスナーにメッセージを送る。これまでにCM、演劇、ミュージカルなどには出演していたが、ラジオのパーソナリティは5年ぶりだ。

 澄んだはっきりとした声と落ち着いた語り口は、往年の彼女が常にそうだったように“クール”だが、リスナーから送られたメッセージを落ち着いて読み上げる姿からは深みと温かさが感じられる。

 「母が胃がんで闘病中なんです。だからかリスナーから送られるメッセージに誰かが病気だとか、病気の家族がいるという話があると他人事だとは思えません」

 『夜を忘れたあなたに』は旧・東洋(トンヤン)放送(TBC)の時代から続く伝統の番組だ。来年には満40周年を迎える。一時は青少年の相談番組として放送された時期もあったが、基本的には深夜の音楽番組としてのスタイルを守ってきた。

 夫で俳優の車仁杓(チャ・インピョ)はSBSドラマ『完全な愛』で熱演中だ。仲むつまじく暮らす30代の夫婦が、妻が不治の病にかかって死別するといったドラマだ。車仁杓の相手役を演じる金喜愛(キム・ヒエ)は辛愛羅と親しい仲でもある。

 「ドラマを観ながら『あら、喜愛さんが私の夫とキスをするの?』なんて思いませんよ(笑)。私も他の人たちのようにたくさん泣きます。ところが夫がいたずらをするんです。週末、夫と一緒にこのドラマを観るんですが、悲しいシーンになると必ず私のことを見るんです」

 『夜を忘れたあなたに』は10代のリスナーが好むようなゲストを呼んで爆笑するというよりは、20~40代のリスナーを対象に音楽を流すことに重点を置いている。

 辛愛羅は「誰か好きな人に語り掛けるように、そして二人きりで話すような雰囲気にすることを心がけています。

辛い一日の仕事を終えたリスナーたちが、リラックスできるように音楽をじっくりと聴かせたいと思います」

金スヘ記者 goodluck@chosun.com
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