歌手の韓栄愛(ハン・ヨンエ)の初のミュージックビデオが、口コミによって人気が広まっている。
彼女が歌った曲『さびしい街燈』のミュージックビデオは、11組のカップルのキスシーンが収録されており、『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督が手がけたことから、別名“キスの追憶”とも呼ばれている。
韓栄愛は今年の夏、1920~50年代に発表された韓国の大衆歌謡をカバーしたアルバム『Behind Time』をリリースして好評を博した。
今回ミュージックビデオとして制作された『さびしい街燈』は、同アルバムに収録された曲で、1934年に黄琴心(ファン・グムシン)が歌った曲をリメークしたもの。制作費はミュージックビデオとしては破格の低予算とも言える7000万ウォンだが、韓栄愛としては“巨額”であった。
一人の男が街燈の電球をゆるめて明かりを消し、いきなり恋人の唇を奪うシーンで始まるこのミュージックは、最後まで男女のキスシーンが登場する。
中年から高校生、長身の女性と背の低い男性のカップルに至るまで、さまざまな男女が登場し、街燈の下で犬にキスをする男性までも登場する。制作スタッフはこのキスシーンを撮影するためにネットでカップルを募集、5組のカップルを選んだ。
主演はリュ・スンボムと『オールドボーイ』で熱演したカン・ヘジョンが務めた。
不意なストーリーとオーバーアクションが多い通常のミュージックビデオとは異なり、ポン監督独自のユーモアと温かさが溶け込んだ秀作だ。
ロケ場所は1970年代の風景がそのまま残るソウル市・貞陵(チョンルン)の路地裏で行われたが、カン・ヘジョンが「何年か前にいらいらして目的地も決めずにバスに飛び乗ってふらりと降りた場所」と言って制作スタッフを驚かせたりもした。
しかし、韓栄愛のミュージックビデオは地上波テレビ局3社すべてから放送不可判定を受けた。理由は「濃厚なキスシーン」と「一部の喫煙シーン」。現在、ケーブルテレビとネットサイト(www.musicwell.co.kr)を通じて観ることができる。