話し方にすべてが表れる人がいる。鄭俊浩(チョン・ジュノ)はゆっくりと話す。どんな質問をされても、しばらく間を置いてから語る。言葉遣いに見られる謙遜は、儀礼的なものというよりは持って生まれたもののようだ。よほどでない限りは自信満々な口調で話さない。
そんな鄭俊浩が今月17日に行われた新作映画『千年湖』の記者試写会の舞台あいさつで珍しく語気を強めてこう語った。
「『家門の栄光』に出演してから、コメディー映画のオファーが相次ぎましたが、映画らしい映画に出演したくて今回この作品を選びました」
28日、鄭俊浩にインタビューした際、その言葉について再び聞いてみた。「ちょっと大袈裟でしたね。でも『頭師父一体』や『家門の栄光』に出演してから、私がコメディーだけで脚光を浴びているようでプレッシャーになっていたのは事実です。武侠映画『千年湖』に出演するリスクは高いですが、他のジャンルの映画とはまったく違う点が気に入りました」
統一新羅末期を背景にした『千年湖』で鄭俊浩は、真聖女王から好意を寄せられながらも平凡な女性を愛する将軍、ピ・ハランを演じ、アクションとラブストーリーを行き交う幅の広い演技に挑戦した。
鄭俊浩は「中国で7カ月間撮影し、40キロにもなる衣装を身につける上、SARS(重症急性呼吸器症候群)の恐怖にも見舞われ、かなり大変だった」とし、「中国側のスタッフが半分で、朝鮮族の通訳を雇いました。そしたら、ウサギ40匹を準備するように頼んだのに斧40本を持ってきたり、木を何本か切るように頼んだら、山にある木を丸々切り倒してしまうような笑うに笑えないエピソードがいろいろありました」と説明した。
李光勲(イ・グァンフン)監督について「物凄く繊細ですが、他人の意見に積極的に耳を傾けてくれるので、一緒に作っているという満足感がありました」と言う鄭俊浩は「最近、二十歳になったばかりの相手役の金ヒョジンを何とか説得してそれなりに濃厚なベッドシーンを撮りましたが、全体のストーリーの流れで、かなりの部分がカットされてしまったのが残念です」と笑顔で付け加えた。
最近、米女子プロゴルフ(LPGA)ツアーのCJナインブリッジクラシックで優勝した安是眩(アン・シヒョン)選手が鄭俊浩のファンであることを公開して話題になったことを聞くと、「ハンディは15程度。一緒にラウンドできたら“家門の栄光”ですね」と明るく答えた。
『アナーキスト』から『黒水仙』、『千年湖』に至るまで、過去の出演作品をあらためて見てみると、鄭俊浩が意外に芯のあるしっかりとした大作に多く出演していることが分かる。ファンは美形俳優の典型のような鄭俊浩がコミカルな演技をする時に最も喜ぶが、本人はファンと違う視点を持っているのだろうか。
「正直、ギャップがあります。ファンが喜ぶ作品に出演するのもやり甲斐がありますが、実は男性的な映画が好きなんです。40歳前後に自分の人生を振り返る重厚な男の物語をやってみたいですね」
鄭俊浩は『頭師父一体』、『家門の栄光』のヒットで「興業俳優」と呼ばれるようになったことについて、「私自身の力と言うより、映画の雰囲気が当時の観客の好みに合致したから。過大評価されていると思います」と答えた。
それでは、出演陣を思うままに選べるなら、鄭俊浩はどんな「ドリームチーム」を構成するのだろうか。
「まず、私が思いを寄せている李滄東(イ・チャンドン)監督を迎えて、相手役には辞めるには惜しいと思っていたコ・ヒョンジョンさん、とても厚みのある表情を持っている金甲洙(キム・ガプス)先輩と一緒に、『リービング・ラスベガス』や『デッドマン・ウォーキング』のような作品を撮りたいです」
その夢を観客も一緒に見ることができたら素敵だ。