清楚だがどこか漠然としたイメージのこの女優に実際に会うと、「舌足らず」というレッテルはひとまず括弧に入れる他ない。
KBSテレビのドラマ『冬の恋歌』(日本タイトル『冬のソナタ』)で清純可憐なユジンを切なく演じたチェ・ジウが、2年ぶりにブラウン管に戻ってくる。
スターのキャスティングでは定評のある李ジャンスディレクターが手がけるSBSテレビの全20回ドラマ『天国の階段』(朴ヘギョン脚本)だ。
12月3日からスタートするこのドラマで、チェ・ジウは「遊園地でお兄ちゃんと私が同じところを見ることができたら、そこが天国」という世界観を持つ悲運のヒロイン、ハン・ジョンソを演じる。
「裕福な家庭に生まれますが、母をがんで亡くした後、奇しくも記憶まで失う女性です。そして2人の男性に愛されます。申鉉濬(シン・ヒョンジュン)さんとクォン・サンウさんがその男性を演じます」
性格が良く、涙もろい清純可憐なキャラクター、というイメージが固定していることに、負担を感じることはないのだろうか。
この「可愛らしい(!)」女優は、独特の口調で「そうでもないです」と答えた。
ドラマ『美しき日々』に『冬の恋歌』、そして今回の『天国の階段』まで、一見似たようなキャラクターを演じたが、よく見れば少しずつ違う演技を見せてきたからだという。
左手の小指に生々しい傷があるので、理由をたずねた。
「昨日、(ソウル市内の)清潭(チョンダム)洞で走るシーンを撮影中に転んだんです。私は一度走り出すと急に止まれないので。ジーンズが破れ、足にも傷ができてしまいました」
映画『ピアノを弾く大統領』に出演後、チェ・ジウは10カ月ほど仕事を休んでいた。本人に言わせると「デビューして8年間、これだけ長く休んだのは初めて」だそうだ。
その間に映画やテレビドラマをほとんど観賞し、出演のオファーがあった作品を見ながら「出なくてよかった」と胸をなで下ろしたこともあったという。
しかし、「休んでいる間はとても幸せでしたが、すばらしい演技を見た時、早く復帰したいと思っている自分を発見し、『私も生まれながらの役者だな』と初めて思いました」と告白した。
先月、チェ・ジウは中国・上海で韓中日合作ドラマ『101回目のプロポーズ』を撮影した。
韓国人の役者はチェ・ジウ1人だけだったが、中国の役者が韓国製の菓子をどこからか購入し、元気づけてくれたという。
どんな中国語を一番使ったか聞くと、言ってから両手で顔を覆った。
指の間から真っ赤になった顔が見えた。韓国語で「私きれい?」という意味だそうだ。
隣にいたマネージャーが「聞かれた中国人スタッフはそのたびに『そうだ』と答えて頷いていました」と説明してくれた。