アジア最大の映像コンテンツ見本市を目指す宋秉準

 彼の名刺には制作会社「エイトピークス」(Eight Peaks)代表、と書かれている。多くの人には歌手、作曲家、あるいは俳優、また時には司会者として親しまれている人物だ。

 しかし、今は事業家としてのアイデンティティに重点を置いている宋秉準(ソン・ビョンジュン)。40を過ぎた年齢にも関わらず変化し続ける宋秉準は19日から3日間、済州(チェジュ)で「第3回国際放送映像見本市場」(BCWW・Broadcast Worldwide)を開催する。

 「BCWWは簡単に言えば各国の放送番組の取引をする見本市です。フランスのカンヌで開かれる世界最大の映像コンテンツ見本市のMIPCOMやMIPTVのように、アジア最大の映像コンテンツ見本市にしようという趣旨で始めました」

 宋秉準が事業家に転身するきっかけとなった理由はこうだ。

 3年前のベンチャーブームの際に、ある創業投資会社が支援した放送番組のオンライン販売会社「BCWW」(www.bcww.net)が作られた。しかし、マーケットは彼らの期待通りにはならず、その会社の役員と知り合いだった宋秉準が、2000年に“救援投手”として迎えられた。

 本格的に事業家となった宋秉準は、オンラインではなくオフライン市場に会社のターゲットを定め、キーボードではなく足で直接動き回った。

 「関心がありました。その後は北京、上海、ラスベガスを回ってBCWWに参加してほしいと何度も頭を下げました。そのお陰で今では世界25カ国から150社、2000人のバイヤーが集まる国際的なイベントに定着しました」

 その一方で宋秉準はドラマの制作にも携わっている。

 BCWWの活動をしているうちに自然と制作する機会に恵まれ、チャン・ナラの名前を世間に広めたドラマ『明朗少女の成功記』で初の外注制作契約を交わした。

 視聴率30%を越えた週末ドラマ『ボディーガード』や『前の家の女』もエイトピークスの作品だ。「これまでに4作品を手がけましたが、周りからは4打席で3本塁打を放った幸運な男と呼ばれています」

 本人にカムバックの意思はないのか?

 宋秉準は「もちろん演技や音楽をやりたいという気持ちや未練は残っている」と語り、「来年会社がもう少し安定したら、本格的に動き出してみようと思う」と白髪混じりの顎ひげに手をやった。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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