思っていることが筒抜けになってしまうことほど当惑することはないだろう。
日本映画の『サトラレ』(21日公開)は、すべての考えが周囲の人々に伝わってしまうという架空の人物を通じて笑いと感動を伝える。
サトラレと呼ばれるIQ180を超える天才たちは、周囲の保護で自分がサトラレであることを知らずに暮らしている。子供の頃に飛行機事故で両親を失い、祖母と一緒に暮らす健一(安藤政信)はサトラレ症例7号。
医薬品開発に利用したい政府の企みとは裏腹に、彼は病院で医師として働いている。健一は自分の状態と適性を把握する目的で派遣された精神科医の洋子(鈴木京香)と恋に落ちる。
健一の衝動的な考えをダイレクトに見せる映像と、彼がショックを受けることを恐れて知らない振りをする周囲の動きが数々の笑いを生み出す。
食事をする健一が「まずい」と思えば、その店に列を作って待っていた人々がたちまちいなくなってしまうといった具合だ。オーバーな反応をする周囲の人々に“警告”をして健一の保護に熱をあげる警護員たちの姿もこっけいだ。
同名の漫画を映画化した『サトラレ』は、非現実的な素材を扱ってはいるが、決して騙されたという気分にはならない。『踊る大捜査線』の本広克行監督はさまざまなエピソードで映画を満たし、無人島に暮らすサトラレを通じて物語を引き締める。
笑いのために作られた設定は多少強引だが、映画は後半に進むほどに威力を発揮する。人に対する温かいまなざしが強く感じられる映画でもあるが、笑いから感動に運ぶタイミングと瞬発力は絶妙だ。
しかし、病院の患者などの脇役の演技がオーバーなあまり、映画全体のトーンを乱している。