英語と恋愛の共通点は? 『英語完全征服』


 学校で10年近く英語を勉強しても、いざ外国人を目の前にすると閉口してしまう韓国人。そんな人たちにとって英語は恐怖そのものだ。

 映画『英語完全征服』(5日公開)は、この恐怖をとことん攻略してストレスから解放してくれる。間違っていても私たち同士ではよく通じる“コングリッシュ(韓国式英語)がその武器だ。

 町役場の職員の中から英会話を学ぶ代表に選ばれた9級公務員のヨンジュ(李ナヨン扮す)。

 彼女は子供の頃、海外へ養子に行った妹との再会を控えて英語を学ぶムンジュ(張赫(チャン・ヒョク)扮す)と英会話学校で出会う。百貨店に勤めるムンジュの親切心を“恋愛感情”と勘違いしたヨンジュは、「彼女ができたら英語でプロポーズする」と言う彼の言葉を聞き、毎晩CNNテレビを観て英語の勉強に熱中する。

 英語と恋愛。互いに殻を破って心を開くことから出発し、最初はスムーズだが徐々に難しくなり、通じる人には通じるといった共通点がある。英語は頭で、恋愛は心でするというのが最大の違いだ。

 似ていながらも異質な二つの面を交差させるこの映画は「It‘s carrot」(韓国語で「タングニジ」(当たり前だの意))といった“コングリッシュ”の台詞で、英語に劣等感を感じる観客に解放感を与える。

 英会話学校でヨンジュとムンジュのニックネームはそれぞれ“キャンデー”と“エルビス”。漫画とゲーム、妄想が入り混じった『英語完全征服』は、二人のニックネームのイメージにぴったりだ。

 ヨンジュの想像を単純に描き出したアニメ、ゲームセンターの格闘ゲームを真似た“英語レベルテスト”、馬の乗り物に乗ったムンジュが、朝鮮時代の公務員に変身したヨンジュの前に現われるなどのシーンは、コメディーのリズムを軽快に表現している。

 英語に対する恐怖心と劣等感から解放する笑いは、新鮮で痛快だ。『太陽はない』、『ビート』など、男性的なアクション映画を手がけてきた金性洙(キム・ソンス)監督は、初めて挑戦したコメディーを視覚的かつ多彩に描くことに成功した。

 秘密情報機関の特殊要員が学校に侵入して受講生の英語レベルをテストするといったアイディアの数々があちこちで際立つ。しかし、映画に挿入されたアニメやゲームは、後半に進むほど違和感を感じさせ、スムーズなストーリーの流れを邪魔する。

 黒縁メガネにお下げ頭、顔をしわくちゃにして奇妙な笑いをする李ナヨンのキャラクターは一際目を引く。張赫も『火山高』に続き、アニメチックな演技は一定レベルの実力を披露している。しかし、二人のオーバーさを無くして細やかな感情表現をしなければならないクライマックスはぎこちなかった。

 「英語、お前を完全に征腹してやる」。

 映画『英語完全征服』はこの台詞を観客の耳に残す。映画の中のヨンジュの征服目標が英語と恋愛(ムンジュ)だったとすれば、この映画が征服しなければならない対象は観客だけだ。

 『英語完全征服』は確かに多くの人が共感できる素材を扱ったが、この映画はコメディーから恋愛へと移る段階に最も重点を置き過ぎている。頭を軽くして心は満たしてくれるコメディーを望むのは、欲張りなのだろうか。

朴敦圭(パク・トンギュ)記者
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