李丙勲プロデューサーに聞く『大長今』のエピソード


 『大長今』ブームが巻き起こっている。

 身分や性別の壁を越え、宮廷最高の料理人として、また王の主治医として成功した中宗(チュンジョン)朝に実在した女性、徐長今(ソ・ジャングム)の一代記を描いた全50回のMBCドラマは、スタートから一カ月目にして40%の視聴率を突破した。

 28日に放送された第14回の視聴率は、44.1%(ACニルソン)を記録した。

 この時間にテレビを観なかった人も含め、韓国民の二人に一人は『大長今』を観たということになる。一カ月前には目にすることが少なかった宮廷料理は、飛行機の機内食に登場し、韓定食屋や餅屋、伝統酒場などは、店名やメニューを“大長今”に変えている。

 携帯電話の着信メロディも『大長今』主題歌が人気を集め、漫画版『大長今』も出版され、台湾、香港をはじめとしたアジア各国のテレビ局が取材のために議政府(ウィジョンブ)にあるMBCのオープンセットを訪れている。

 この“大長今ブーム”の震源に、李丙勲(イ・ビョンフン)プロデューサーがいる。『朝鮮王朝500年』、『暗行御史』、『許浚』、『商道』、『大長今』と続けてプロデュースした“時代劇の達人”に、ソウル市・汝矣島(ヨイド)のMBC本社でインタビューした。

▲若者に熱烈な支持を受けた話題作『茶母』は、番組のホームページに寄せら黷ス意見だけで100万件を超えたが、視聴率は20%台に止まった。一方の『大長今』は「予測可能」といった批判を受けながらも、40%以上の視聴率を記録しているが。


 「私の演出の原則は“ドラマは分かりやすくあるべき”ということ。前作の『商道』で多くを学んだ。主人公が真鍮の器の作り方を学ぶ過程をかなり力を入れて収録したが、視聴率はわずか10%台だった。裏切られた感じだった」

 「しかし、その時に悟った。視聴者というものは、気まぐれで、レベルが高く、千差万別だということを。視聴者は気軽にテレビを観たいのであって、制作側は視聴者に合わせて絶対服従でなければならない」

▲美しい宮廷料理が見どころだが。

 「宮中料理研究院(韓福麗(ハン・ボクリョ)院長)から常に2~3人がロケ現場で直接料理を作る。おかしなことに、あれだけ種類が豊富な宮廷料理をスタッフたちは一度もまとも味わったことがない。タイミングを逃して5~6時間の撮影が終わった頃には最高の味を失ってしまっているからだ」


 「数日前には醤油トッポッキ(餅の辛味噌煮)のシーンがあったが、急いで一時間ほどで撮影を終えても、結局はすでに溶けてしまっていた。皆、箸を手に待機していたが、またしても失敗に終わった」

▲ドラマにしては珍しく『大長今』にはラブストーリーの要素があまりないが。

 「実はそれがネックだ。宮女たちが“王の女”であるため、李英愛(イ・ヨンエ)と池珍煕(チ・ジニ)を自然に恋愛へと結びつけるのがとても難しい。なので来週からは長今を宮内から出そうと思う。50回ものドラマには“ラブストーリー”の要素が必要だ。

面白い内容を描くにも限界がある」

魚秀雄(オ・スウン)記者
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