ユ・ジェハの生まれ変わり…?

 11月1日は大衆楽壇にとっての命日だ。1987年のこの日、ユ・ジェハが、その3年後の同じ日に金ヒョ
ンシクが永遠の眠りについた。両者共に韓国大衆楽壇を代表する人物であったし、今でも「もし生きていたらどんな音楽を創っていただろうか」という声を聞く。

 16周忌を迎えるユ・ジェハにとって、せめての慰めになる話がある。自分と瓜二つの歌手、チョン・ギチャンが、初のアルバムを出したからだ。

 チョン・ギチャンは作詞、作曲、編曲はもちろん、ギターやベース、キーボードに至るまでを直接演奏する。しかもチョン・ギチャンの作品や歌唱テクニック、歌声のすべてがユ・ジェハとそっくりだ。絶妙なリズムに乗ったソフトな歌声は、ユ・ジェハを即、想像させる。

 レコーディング中には「ユ・ジェハが帰ってきた」と言う声も多く聞かれた。チョン・ギチャンは弘益(ホンイク)大学の4年生だった96年、「第8回ユ・ジェハ音楽競演大会」で大賞を受賞した。

 「ユ・ジェハのようなスタイルの音楽をよく聴いています。それで『ユ・ジェハの物真似大会出身なのか』という冗談もよく言われます」。チョン・ギチャンはかつて「ユ・ジェハ音楽競演大会」で大賞を受賞したナ・ウォンジュと共にデュオ「自画像」を結成して、アルバムも2枚発表した。ナ・ウォンジュも最近、ソロアルバムを発表している。

 チョン・ギチャンは自分の名前の代わりに「休」というプロジェクト名をアルバムタイトルにした。収録局の13曲中、6曲を直接歌った。タイトルトラックの『記憶が、涙が』は新人歌手のチョ・テヨンが、その他に李素羅(イ・ソラ/『ぶらんこ』)、李ジョク(『マジック』)、李スンファン(『キング・オブ・ザ・キック』)などが各曲でゲスト参加した。

 「ユ・ジェハの音楽に初めて接したのは高校3年生の時でした。『私たちの愛』という曲が好きだった。その曲は、聴く側には優しく情感溢れる曲に感じますが、音楽をやる人間には『どうやってこんなリズムやメロディーを作れたのだろう』と思わせるような曲です。それがユ・ジェハの魅力だったようです」

 チョン・ギチャンの『頑張ってください』、『告白』といった曲は、ユ・ジェハのスタイルに忠実でありながらも、また違った印象を与えるバラードだ。

 「自画像の2枚目を発表した後に4年ほどブランクが空きました。ブランクが長かった分、“休息のパワー”が生まれたようです。そのパワーが音楽の大きな力になって、音楽を聴く人々にも私の音楽でそのパワーを与えることができればと思います」。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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