初のコメディー映画『英語完全征服』に挑んだ李ナヨン

 クランクアップを迎えた瞬間、俳優は自分が演じたキャラクターから脱皮する。その脱皮は瞬く間にできるが、なかなか治らない風邪のように何カ月も続くこともある。

 コメディー映画『英語完全征服』(11月5日公開)に出演した李ナヨンは、この映画の殻を脱ぐのに一苦労している。

 「私自身が随分と変わりました。おしゃべりも増えて表情も豊かになったと言われます。ヨンジュは本音が顔と体にそっくりそのまま現れる性格なので…。映画にすっかり入り込んだ分、元に戻るのに結構時間がかかりました」

 ヨンジュとは『英語完全征服』で李ナヨンが演じたキャラクター。町役場の職員の中から英会話を学ぶ“代表選手”に選ばれた9級公務員のヨンジュは、英会話教室の受講生、ムンジュ(張赫(チャン・ヒョク)扮す)に一目惚れして、“英語”と“恋愛”の二兎を追う。

 黒縁メガネにお下げ頭、顔をしわくちゃにして「ククク」と笑う見慣れない李ナヨンの姿は、ショッキングの極まりない。コメディーも今回が初のチャレンジとなる。

 「それでも“変身”という言葉は嫌いです。一つのイメージやキャラクターに入り込んだ演技者が、そこから離れる時に使う言葉じゃないですか。私は今までに特別これといったものを見せられなかったから」


 演技の実力をもっと磨かなければならない、という告白だ。1998年にCMモデルとしてデビューし、ドラマに出演した3年間は台詞を覚えることで精一杯だったという李ナヨンは、昨年、映画『フー・アー・ユー』とドラマ『勝手にしやがれ』への出演を機に、演技とは何か多少分かってきたと言う。

 李ナヨンは「どんな演技をしても見る側は長期間出演中の化粧品モデルとして記憶しているようで、残念ですが、逆にモデルのような私のイメージは、白紙みたいにどんなキャラクターでも重ねることができる長所でもあります」と語った。李ナヨンは状況の裏表をすべて判断できるようだ。

 「Thank you for comming.I hope you enjoy screening.」(ご来場ありがとうございます。ごゆっくりご鑑賞ください。)

 今月20日、試写会場で李ナヨンは、最近英会話を学び始めた人のような中途半端な発音を真似て英語であいさつをして客席を爆笑の渦に巻き込んだ。

 「私の英語の実力は大したことはないが、外国語をもっと学びたい気持ちはある」という。日本語を1年ほど学び、次は中国語にチャレンジする計画だ。

 李ナヨンは「まず先に心を開かなければ後で苦労して、コミュニケーションを交わさなければならないなど、英語と恋愛は共通点が多い」とし、「重要なのは勇気」とアドバイスした。

 李ナヨンのニックネームは“若年寄り”。同年代よりは少し年上のお姉さんたちとよく気が合う。李ナヨンは一人でいる時は読書を楽しむと言う(最近、某大型書店の会員カードを手に入れたと自慢した)。

 アニメキャラクターのアトムに関係する人形、手帳、財布、携帯ストラップなどをコレクションするアトムマニアでもある。李ナヨンは最近読んだ『エゴン・シーレ 魂の裸像』を“危ない本”と表現した。本が危険?

 「主人公が画家なのですが、荒々しい自画像を主に描きました。自分に対する考えが多かったからです。後には華麗な風景画も描きましたが、私は自画像がもっと好きです」

 李ナヨンは女優でありながらも外に表現するよりも、自らの内面で掘り下げるタイプのように見えた。李ナヨンはこう語った。

「おかしいでしょう?マイナー好みの私が女優だなんて…」

朴敦圭(パク・トンギュ)記者
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