現実との狭間でカートゥンを描き続ける史二路氏

 カートゥニスト(一コマ漫画家)の史二路(サイロ/63/本名:李ヨンミョン)氏が新作『史二路旅行記』(チョロクベマジックス)を出版した。1975年の初作品集『無風帯』以降、独自の世界を追求し、地道に描いてきたカートゥンの中から、作家が最も好む作品のみを厳選して収録した。

 「収録した作品は表現に無駄がなくて、一枚の絵だけで表現したものです。カートゥニストとして私が今まで追求してきた世界です」

 史二路漫画はタイトルがない。必ず必要なものと背景を描くだけで、絵自体よりも余白部分が多いのが史二路流カートゥンの特徴だ。彼の言葉を借りれば「漫画が散文なら、カートゥンは詩」だ。

 今回出版されるカートゥン集には、史二路作品の他にカートゥニストとして生きてきた彼の人生物語を紹介している。

 「私のカートゥン物語」、「デビュー時代」、「エピソード」の3編の散文で綴られた文章で史二路は、スタインバーグのカートゥンに接してカートゥンの魅せられたこと、学生時代に少ない小遣いを稼ぐ手段だったカートゥンを描くことが、生計のために日刊紙や週刊誌に関係なく読者漫画を送り、その原稿料で生活しなければならなかった壮年期の苦痛に変わった過程、「不安な未来を捨てて就職しなさい」と口うるさく言う両親とカートゥンを描きたいという欲望の間で迷ったエピソ[ドなどを告白する。

 ペンネームの「史二路」とは、彼が人生の選択に迷い、悩んだ傷跡でもある。

 史二路氏は「カートゥンは魅力的な分野だが、掲載の場が少ない」とし、「現実的な制約のため、萎縮した後輩たちに私のカートゥン集が勇気を与えられたら」と語った。

金泰勲(キム・テフン)記者
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