MBC-FMの鄭恩任アナが8年ぶりに復帰

 人々は自分が記憶したいことだけを憶えている。

 自分の名前を大衆の記憶に鮮やかに刻んだMBC-FM『鄭恩任(チョン・ウンイム)の映画音楽』(午前3時)に、鄭恩任(35)アナウンサーが8年7カ月ぶりに復帰するという知らせを聞いた時、まず疑問に思ったのは「今まで何をしていたのだろうか」ということだった。

 「常に何かをしていました。『鄭恩任の映画音楽』のイメージがあまりにも強すぎて、恐らく覚えてらっしゃらない方も多いでしょう…。朝のニュース番組で映画紹介のコーナーを担当して、オンブズマン番組の司会もやりました。たぶん今までに私が目立った成果をお見せすることができなかったからでしょう」

 こう謙遜した鄭恩任アナだが、『鄭恩任の映画音楽』に対するリスナーたちの情熱は驚きに値するほどだった。入社1年目の92年から2年間続いた『鄭恩任の映画音楽』を降板した時、当時の韓国メディアの環境では信じられない出来事が起こった。

 「鄭恩任アナを復活させろ」と、リスナーたちが“集団デモ”を行ったのだ。インターネットよりもパソコン通信が主流だった時代、ハイテル、ナウヌリなどにはオフィシャルファンクラブも結成され、新聞やラジオ番組へのアクションが数カ月にわたって続いた。

 98年に放送活動からしばらく離れ、鄭恩任アナは米シカゴにあるノースウエスタン大学で映画を学んだ。

 「自分の視点だけで映画を観るのは限界だったようだったです。時には“学芸会”のように感じてしまうこともありましたし。さまざまなリスナーが対象だったのですが…。怖かったんです。それで無謀にもパソコン通信の会社員を対象にした留学同好会に加入して大学院の試験準備をしました」

 20日からスタートする『鄭恩任の映画音楽』は、午前3時から4時までという非常に遅い時間帯に放送される。

 「時間帯に対する不満がないといえば嘘になります。でも、その代わり聴取率に大して気を使わなくても済むので、その分、番組独自のスタイルでできるようです」

 「92年に放送した時も深夜1時からだったので、それほど良い時間帯とは言えませんでした。

もちろん大衆性を無視すると言うのではなく、他の番組ではできない映画についての話がしたいだけです」

魚秀雄(オ・スウン)記者
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