23日に最終回を迎えるKBS第2テレビの特別企画ドラマ『張禧嬪』の金ヘス。時代劇で結った髪の毛を解き、肩の荷が下りたはずの金ヘスは「名残惜しいです」、「悲しいです」という言葉を連発した。
女優なら一度は夢見る張禧嬪の役を無事に演じ切ったが、その喜びと同じくらいに悔しさが残る。「演じている時は分かりませんでしたが、時間が本当に早く過ぎて行きましたね」。金ヘスにとって張禧嬪は“妖婦”、“悪女”、“野心家”といった既存の固定観念で規定してしまうには、あまりにも大きな意味を持っている。
金ヘスは子供の頃から張禧嬪役に夢見てきた。小学生の頃、テレビで李美淑(イ・ミスク)が張禧嬪を演じる姿を見て一目惚れした。しかし実際に演じてみた張禧嬪は、夢に描いたようには甘くなかった。
視聴者の頭に強烈な印象で残っている張禧嬪に対するイメージのためだったのだろうか。相次ぐ非難に堪え、深刻に悩んだりもした。
結局、金ヘスの選んだ道は今までの張禧嬪のイメージを踏襲せずに、まったく新しい姿の張禧嬪を作る冒険をするのでもない、中間的なものだった。作家や演出家と共に悩み「フレームの中の新しさ」を模索することに力を尽くした。
「ベストを尽くしましたが、もう少し準備してからだったら、もうちょっと上手にできたんじゃないかって思います」
昨年11月にスタートした『張禧嬪』は、作家の交替をはじめ、多くの紆余曲折を経た。トラブルが重なった分、視聴率も底を付いた。20%台の安定した視聴率でスタートしたが、悪材料が重なり、一時は1ケタ台まで視聴率が落ちた。
しかし、金ヘスをはじめとした出演者らとKBS、制作会社の「(株)イースターズ」の苦渋の努力で、最終的には30%台の視聴率にまで引き上げた。
視聴者たちの手厳しい批判も受けた張禧嬪を演じた金ヘス。しかし、ドラマが有終の美を飾ることに対し、金へスは「視聴者のおかげ」という。
「まだまだの部分が多いことは私自身が感じるほどだったので、視聴者は尚更だったでしょう」としながら、「それでも視聴者の皆さんが観てくれ、さまざまなことを振り返って時代劇の魅力を命一杯感じることができるきっかけになった」と語る。
ドラマに登場する張禧嬪のような恋愛がしたくないかという質問に「愛を自由に表現することができる時代じゃないですか」という曖昧な返事をして、トレードマークの大きな口をして笑ってみせる。その涼しげな笑いが、何よりもの明快な答えだ。