柳好貞「二番目の子供よりもドラマを選びました」

 地中海の海辺にローズマリーという草木が育つ。早春、濃い緑の葉の間に鮮やかな青紫の花を咲かせる。記憶、不滅、貞節、友情。しっかりとした花軸のように深い意味の花言葉を持つローズマリーを、放送作家の宋智娜(ソン・ジナ/44)は、29日からスタートするKBS第2テレビの水木ドラマのタイトルにした。

 ドラマ『ローズマリー』でタレントの柳好貞(ユ・ホジョン/34)が、がん宣告を受け、夫(金スンウ扮す)と二人の子供を夫の若い愛人(ペ・ドゥナ)に任せてこの世を去る若い主婦“李ジョンヨン”を演じる。

 若くしてこの世を去る人間の漠々とした思いを静め、家族たちの心にローズマリーのほろ苦い香りを残してこの世を去る役だ。

 8日、制作現場でインタビューした柳好貞は、物静かで優しい表情をしていた。「余命2カ月という主婦が、その2カ月の間でさえも夫と子供のことを考えるという設定に共感できるんですか?」と問いかけると、とても真剣な表情で「十分に共感できます」と語った。

 「世の中には仕事が人生で一番という人もいれば、家族が一番大切だという人もいますよね。どちらが良いというのではなく、ただお互いに違うというだけです。私の演じる役は、後者でしょう。初恋の大学の先輩と結婚して家族が一番と思って暮してきた専業主婦です。私がその人だったとしても、夫が悲しみから抜け出し、私が信じることができる良い人と幸せに生きてほしい」

 柳好貞は「私がいい子だから、こんなことを言っているわけではありませんよ」と語った。

 「私たちは誰もが死に近付いた時、何も後悔することなくこの世を去りたいと思いますよね。『彼にもうちょっとよくしてあげればよかった』といった心残りなく」

 李ジョンヨンの役は今年5月に宋智娜が「この役には柳好貞がぴったり。柳好貞しかいない」と言って決めた配役だ。

 柳好貞は「この間、MBCテレビのドラマ『前の家の女』に出演したが、その以前から心の中では常に李ジョンヨンのことを考えていた」と語った。頭の中でがん患者の役を描きながら、不倫妻を演じて、また2カ月も経たないうちにがん患者の心情に戻るなんて、かなりの神経ではなければ混乱してしまうだろう。

 柳好貞は物静かに笑って「それが女優の仕事です」と語った。

 「今回の人物は現実の私と似ている部分が多いんです。普段の生活を楽しんで、家事が好きで、家族を一途に愛する気持ちなんかがそうです。夫(李ジェリョン)も『この役は君が一番上手く演じられる役だ』と応援してくれました。このドラマが演じたくて、二人目の子供も後回しにしました。本当に上手く演じたいんです」

 ローズマリーのような女性を演じるために、柳好貞は最近、末期がん患者の闘病記を読んでいる。

金スヘ記者
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