新人王を目指す女性ボクサー役に挑むシン・ミナ

 「少女、世の中に向けて拳を飛ばす!」

 今月8日からスタートするSBSテレビの新しい水木ドラマ『殴れ』のキャッチコピーだ。“少女”というガラスのように繊細で、少し触れただけでもひび割れそうな印象を与える単語とは裏腹に、『殴れ』のヒロインは両手にボクシングのグローブをした二十歳の女性ボクサーだ。

 子供の頃に交通事故で両親を失い、無名ボクサーの兄と二人だけで暮らす世間知らずの女子高生チャン・ユビン(シン・ミナ扮す)が、兄が試合の後遺症でこの世を去った後、ボクシングを学んで女子プロボクシングの新人王戦に挑むという内容だ。

 26日、仁川(インチョン)大学体育館でヒロインのシン・ミナ(19)に会う前に、演出を手がけた李ヒョンジクディレクターが記者たちにこう語った。

 「撮影の2カ月前からミナを女子高生プロボクサーの金ジュヒさん(19)が通うジムに送って、ボクシングを学ばせたんです。初日に二人が練習試合をしたのですが、ミナは一発を食らって気を失ってしまいました。ところが最近は館長さんが『タレントをやめてプロデビューしなさい』と勧めるほどなんです」

 まさにバンテージを両手に巻いたシン・ミナの姿がそれを物語っていた。シン・ミナは、にやりと笑うと「ボクシングを始めた最初の半月で3キロ痩せました。その時は金ジュヒ選手と戦って、何とか2ラウンドまで耐えられましたが、最近は5ラウンドまで持ちます」と語った。

 「ボクシングの試合を観ている時には、なぜこんなにも大変なスポーツをするのかって思っていましたが、実際にやってみると不思議な魅力があります。打たれながら快感を得て、負けてたまるかという気持ちが込み上げてきます。何が何だかわからないまま、試合をしていたのですが、ある日、相手選手の拳が目に見えて来ました。震え上がるほど嬉しかったですね」

 シン・ミナは「ドラマの撮影中はタレントではなく、ボクサーとして生きる」と語った。金もなく、コネもないが、懸命に奮闘する女子ボクサー役にすっかりはまったようだった。

 実はシン・ミナが演じるチャン・ユビンは、女子ボクサーという設定以外は、それほど目新しいことはない。アニメ『キャンディ・キャンディ』のヒロインが、2003年のソウルに登場したような役だ。不幸と貧困が続けざまに訪れても常に前向きで「泣きべそなんてサヨナラ!」と叫ぶ熱血少女を演じる。

 そして、今回のドラマにも“キャンディ・キャンディの公式”に従って反抗児の“テリー”や情け深い“アンソニー”がそれぞれ元ボクシング選手でディスコの客引き(チュ・ジンモ扮す)や財閥の息子(ソン・シギョン扮す)として登場する。

 結局、キャンディがテリーを選ぶということは周知の通りだ。それでも視聴者はその過程を楽しませる技を制作陣や出演者に期待する。シン・ミナは笑顔でこう語った。

「10年後にある程度の演技者になった時、『私は二十歳の時にボクシング選手を演じ切った』と自慢したいです」

金スヘ記者
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