本物志向のR&Bを聴かせる「ブラウン・アイド・ソウル」

 韓国の音楽シーンには“ボーカルグループ”というものがいない。ただの“合唱”であるに過ぎない。

 本物のボーカルグループはハーモニーを駆使しなければならないが、ハーモニーを成す実力がなく、単調にメロディーだけを歌っているのなら“ただ集まって歌っているだけ”と言われるのがおちだ。

 その“合唱”グループの勇気は実に恐ろしく、ひどい場合は5~6人が集まって高校生のコーラス隊よりも下手な実力で何も恐れずにアルバムを出す。

 男性デュオ「ブラウンアイズ」がメンバー間のトラブルで解散した後、ナオル(25)を中心に結成した4人組みグループ「ブラウン・アイド・ソウル」(Brown Eyed Soul)には韓国のボーカルグループの希望が見える。

 「ブルー・アイド・ソウル」(Blue Eyed Soul)から取ったグループ名には、彼らの音楽色が滲み出ている。「ブルー・アイド・ソウル」とは黒人音楽を白人の視点で解釈したもので、スティーヴ・ウィンウッド、ホール & オーツ、ロッド・スチュアートなどのアーティストがこれに分類される。

 ブラウンアイズが『もう1年』、『段々』といったR&Bバラードで人気を集めたが、ブラウン・アイド・ソウルは、グルーヴ感がいっそう増したソウル寄りの音になっている。

 一曲目は朝鮮中期の詩人、林悌(イム・ジェ)の詩調『北の空が晴れているとしても』にハーモニーを加えた曲。ナオルが昨年の春、学校の国楽の授業で初めて接した際にインスピレーションを得て作曲した。この曲に表れている創意性だけを取っても、ブラウン・アイド・ソウルは注目されるに値する。

 しかも、ほぼすべての曲をメンバー同士が協力して作詞、作曲したのだ。

 「ブラウンアイズはブラウン・アイド・ソウルの短縮形でした。もともと計画にあったボーカルグループなんです。ユンゴン(ブラウンアイズ元メンバー)も一緒に加わる予定だったんですが、仲が悪くなってしまったので結局実現できませんでした」

 ナオルは「まるで私が密かに作ったグループのように思われているが、それは大きな誤解」と語った。敬虔なクリスチャンという彼は、現在も教会の聖歌隊でテナーを担当するなど、長年にわたって重唱や合唱に慣れ親しんでいる。

 ナオル以外のメンバーは、ジョンヨプ(26)、ヨンジュン(25)、ソンフン(23)で、皆ナオルの友人または先輩、後輩の間柄だ。ヨンジュンのハスキーボイスをはじめ、ファンキーなブラックミュージックの雰囲気を演出する歌声が勢揃いしている。

 タイトルトラックは『本当に愛していたのだろうか』。この曲はメンバー以外の作曲家が手がけた曲だ。ナオルは「メンバーは『My Everything』をタイトルトラックにしたがっていた」と語った。

 『My Everything』は、コーラスの魅力が十分に活かされているR&Bナンバー。ヒップホップグループ「CB MASS」の元メンバー、ゲコとチェジャとのコラボレーション曲『キャンデー』はファンキーなヒップホップナンバー。『ブラウンシティー』ではアシッドジャズのスウィング感を巧みに表現している。

 アルバムには新人グループとしては多い17曲が収録された。

 ブラウンアイズ時代と同じくテレビ出演は一切しないが、ナオルの歌唱力を知るファンが多いためか、アルバムリリース前に7万枚の予約を記録した。

 ブラウンアイズはその優れた実力があったにも関わらず、一度もコンサートを行わなかった。その理由は「メンバー間の仲が非常に悪かったから」というのが定説だ。

 コンサートどころかレコーディングも別々に行うほどだったという。そのためか、新しいグループのコンサートに対するナオルの期待はかなり大きいようだ。

 「本当にコンサートをやりたいですね。今年の8月にやろうとしましたが、結局実現しませんでした。

年内中には必ずファンに直接会いたいと思います」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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