これが韓国型SF超大作の素顔だ。
『ナチュラル・シティ』(26日公開)は『シュリ』が韓国映画市場を育てた以降、忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)の活気が作り出した野心作の中でも視覚効果の完成度が最も高い作品だ。韓国型ブロックバスターの技術力がもはや一定レベルに達したという証だ。
総制作費76億ウォンに制作期間5年。撮影後のCG(コンピューターグラフィックス)処理だけに1年を費やした。投資の遅延など、あらゆる困難を乗り越えて完成した『ナチュラル・シティ』の映像は、その費やされた時間の量が感じられるだけの独自色を放っている。
しかし、視覚効果にこだわるがばかりにドラマ性を欠くという韓国型ブロックバスターの欠点は、この映画でも避けることができなかった。人間とサイボーグのラブストーリーは説明が足りず、構造もお粗末で観る楽しみさえをも妨げる。
2080年、無断離脱したサイボーグを除去する警察R(劉智泰(ユ・ジテ)扮す)は、クラブダンサーのサイボーグ、リア(ソ・リン)と恋に落ちる。しかし、リアの寿命は残り10日足らず。
RはリアとDNAが一致するシオン(李ジェウン)の体にリアの記憶を入れ込もうとするが、無断離脱した戦闘用サイボーグのサイファーがシオンを奪い去る。そして、そんなことも知らないシオンはRに恋Sを抱く。
デジタルの世界を舞台にアナログ的な恋愛を描こうとした『ナチュラル・シティ』のオープニングのアクションシーンは華麗で、新鮮さを与える。仮想的空間を演出するカプセル、宇宙船、サイボーグ工場、シオンの花園など、デジタル映像の数々はこの映画の誠意と努力が伝わってくるほどに優れている。
しかし、映画の中の騒音のために初めから台詞が聞こえず、デジタルとアナログの調和は崩れてしまう。Rとサイボーグとの恋愛は観客の胸に自然に溶け込んでいくというよりは詰め込むといった感じで、人間さを色濃く漂わせなければならないRは、盲目的な行動でキャラクターの魅力を失ってしまっている。
『ブレードランナー』の冷たく陰鬱とした未来の雰囲気だけを借りてきただけで、無表情に羅列された女神像、貧民街などもストーリーの弊害になり、より曖昧にさせる。
潜水艦映画『幽霊』(日本公開タイトル『ユリョン』)で精巧な特殊効果を披露して韓国映画の名を広めた忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)期待の星、閔丙天(ミン・ビョンチョン)監督が新たな領域を開拓して行くチャレンジ精神は驚異的だ。
『ナチュラル・シティ』はクランクアップ後、100%デジタル技術のみで後半の作業を行った初の韓国映画でもある。その膨大な色の補正を通じて監督の想像した未来の風景が鮮やかな映像でスクリーンに映し出される。
水中撮影後にミニアチュアで撮影された宇宙船のシルエットを合成し、CGで作った海の生き物たちを入れて作ったRとリアの幻想的な水中シーンは、汗と努力の結晶だ。
韓国型ブロックバスターは今後、技術を優先させてストーリーを適当に見繕うといった方式より、しっかりとしたストーリーを優先して組み立てた後に技術面に集中しなければならない。粉雪で固めた感情は、観客に当てる前に濁ったように散らばってしまう。雪合戦に相応しい雪は硬いほど遠くへ飛ぶ。