政界に飛び込んだ妖艶毒婦を演じる朴ソニョン

 毒気を吐く女優の顔を画面いっぱいに映し出し、視聴者を圧倒するのが金在衡(キム・ジェヒョン)プロデューサー独自の演出方法だ。

 『女人天下』で後宮を演じたト・ジウォンが「何!」と叫ぶ時のシーンを思い出してほしい。今回の『王の女』では朴ソニョン(27)が、そうした役を演じる。KBSテレビのドラマ『張禧嬪』で清楚な仁顯(イニョン)王后を演じた彼女が、親子と同衾する宮女の介屎(ケシ)を演じる。

 金プロデューサーはこの役について鼻息を荒くして「一言で、本当に悪女なんですよ」と言っては、朴ソニョンを見ながら「この悪女を演じる女優があまりにも綺麗すぎてどうかと思ったけど、初盤の撮影をちょっとしてみたら“いける”と思った」と語った。

 確かに朴ソニョンは本当に美しい。色白で淑やかで意外にグラマーだ。そして正直で、筋道を立ててきちんとものを話す。

 「二度と時代劇なんかに出まいと思いました。『張禧嬪』に出演した時、最初の意図とはまったく違う方向にドラマが進んで行くことにがっかりしたし、演技もとても大変でした。でも今回は、宮女の介屎がとても魅力的な役で、他でもない金監督が呼んで下さったので出演を決めました」

 「介屎は初めから妖女だったわけではなかったはずです。向こう見ずの少女が毒々しく変貌していく過程を自然に演じるのが目標です」

 シナリオはかなりショッキングな内容だ。例えば宣祖(ソンジョ)の後宮になるために斎戒沐浴をして冠礼(成人)の儀式を終えた夜、宮女介屎は一人寂しく静かな寝床で光海君(クァンヘグン)に抱かれる夢を見て恍惚とした気分に包まれてゆく。朴ソニョンはこのシーンについて真面目に説明すると、「可哀相な女性です」と語った。

 同じ時間帯に放送中のMBCテレビの大河ドラマ『大長今』は、大物女優の李英愛(イ・ヨンエ/32)が上品な宮廷の料理人として登場する。

 妖艶な毒婦で李英愛に対抗するのは、相当のプレッシャーだろう。誰かが「正直言ってあちらの方が大物ではないか」と聞くと、朴ソニョンは「仁顯王后を演じたことはすべて忘れて、初心に戻って演じるようベストを尽くします」と、とんちんかんにも聞こえる返事をした。余裕一杯に、大人びた笑みを浮かべながら…。

金スヘ記者
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