「カミングアウト」ホン・ソクチョンが3年ぶりにドラマ復帰

 3年前、彼は突然テレビから追放された。トークショーの出演者同士で“真実ゲーム”をした時に「女性よりも男性が好き?」という相手の質問に「はい」と答えたからだ。

 この部分は編集でカットされたが、彼は噂を聞きつけて訪れて来た女性誌の記者に、もう一度「私は同性愛者だ」と確認した。その後、どんな騒動が起こったかを知らない人はいない。スポーツ新聞の一面のタイトルは『私はホモだ』だった。

 タレントのホン・ソクチョン(33)が、来月4日にスタートするSBSテレビの週末ドラマ『完全な愛』に助演として出演する。

 ホン・ソクチョンはヒロインの李丞涓(イ・スンヨン/35)の幼なじみのルームメートで、周囲に「私は同性愛者」とカミングアウトして明るく生きるインテリアーデザイナーとして登場する。放送作家の金秀賢(キム・スヒョン/60)氏がこの挑発的な配役を設定し、ホン・ソクチョンを名指しでキャスティングした。

 ホン・ソクチョンは笑顔ではなく、考え深げな表情で「本当に大変で留学にでも行こうかと思ったこともありましたが、耐えた甲斐があって本当にうれしいです」と語った。

 「地上波テレビ局の6番組にレギュラー出演して年に2億ウォンくらい稼いでいましたが、カミングアウトをした途端にお金も出演依頼も嘘のようにピタッと止まってオまいました。インターネットに『ぶっ殺す』などの批判の声が集中して、見知らぬ人には『お前は夜な夜な何をやってるのか?』みたいな質問をされました。酔った父に『故郷を離れなきゃ』と泣かれた時は胸が張り裂けるような思いでした」

 事実、“真実ゲーム”は真実そのものではなく、真実を素材にウィットに溢れた問答を取り交わすただの“ゲーム”であった。トークショーに“ショー”という言葉がつくのはこのためだ。ホン・ソクチョンが「はい」と答えた瞬間、スタジオが水を差したように静まり返ったのも、彼が限りなく軽いゲームの現場で突然重い真実を語ってしまったからだ。

 「なぜああ答えたのか」と聞くと、ホン・ソクチョンは「他の人たちのように『結婚はまだか?』という質問に『2~3年後にはするでしょう』と答えて生きるのが嫌だった」と語った。

 今回、ホン・ソクチョンの演じる人物は、化粧をしたり甲高い声を出したりはしない。現実のホン・ソクチョンと同じだ。恋人の性別が他人と違うだけで、他人とまったく同じように食事をして、仕事をして社会生活を送る普通の男性。金秀賢作家は「ごく自然に、自分らしく演じて」と注文したという。

 ホン・ソクチョンは「嬉しくて、震えて、恐ろしくて、緊張する」と語った。当然だろう。隣近所のことがすべて筒抜けな小都市、忠清(チュンチョン)南道・青陽(チョンヤン)で、この3年間をため息と涙で過ごした老母(69)が近所の人たちと一緒にこのドラマを見るのだ。

金スヘ記者
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