話が新鮮な芸能人に会うのはいつも楽しい。ブラウン管のイメージとは違い、型にはまった答え方やご機嫌を伺うような返事、そして中身のない内容に一貫した10~20代の若いタレントたちが多いからだ。
ほとんどの視聴者には知られていなかったが、李英愛(イ・ヨンエ)の相手役に決まり、多くの男性たちの羨望の眼差しを一身に受けた池珍煕(チ・ジニ/30)とのインタビューは、そういった意味で愉快だった。
MBCテレビの全50回シリーズの特別企画ドラマ『大長今』(金ヨンヒョン脚本、李丙勳(イ・ビョンフン)演出)で池珍煕は、内医女(宮中の医薬に関する事項をつかさどった官庁内の女性侍医)長今(チャングム/李英愛)のために獄中苦まで味わう文官、ミン・ジョンホ役を演じる。
「時代劇に出演することになって本当にうれしいです。いつかは出演するとは思っていましたが、ついにそれが実現しました。全50回なので、来年の3月まではドラマが続きますが、その後の成長した自分の姿を想像すると、今から嬉しくなりますね」
人によっては生意気に聞こえるかも知れない感想を、池珍煕は原稿用紙半分の分量に要約した。池珍煕は10代でデビューすることが日常化している最近の芸能界では珍しく25歳で“晩年デビュー”した。「本当に芸能人なんて他人事だと思っていました。しかし本当に不思議ですね。通貨危機が私を芸能人にしたんですよ」
視覚デザインを専攻した李英愛の“恋人”は、大学卒業後に写真とデザインを扱う平凡な会社に入って約5年間、平凡な“サラリーマン”として過ごした。しかし、通貨危機の波は例外なく彼の勤めていた会社も飲み込んでしまった。
「リストラの時、家庭のある先輩たちのことを考えると心苦しくて、自ら名乗り出ました」と言う。ちょうど自らマネージャーをやりたいという友人から「お前は俳優になるために生まれた」と1年間も言われ続けたことも影響した。
当時、池珍煕は友人に「俺は年も取ってるし両親も養わなきゃいけないから、1年以内に俳優という職業に魅力を感じられなかったらやめる」と言い放った。そしてその宣言の1年という有効期間が5年に延ばされ、特に20~30代の女性視聴者から絶大な支持を得ている。
MBCテレビの『四姉妹物語』、『ラブレター』、『ベスト劇場』、SBSテレビの『ジュリエットの男』などで、池珍煕は独自の知的な雰囲気を披露してきた。
李英愛の相手役に決まったという知らせを聞いた時、池珍煕は「トイレ行って一人で笑った」と語り、話題になった。直接共演してみた感想を聞くと、「淑やかで従順な女性であるとばかり思っていたが、オーラに溢れている」としながら「集中力や私の足りない部分が多く、相手役として非常に手本になる」と褒め言葉に余念がない。
「そうじゃなくて、イメージが壊れたことはないか」と捻った質問を投げかけると、腕をポンと叩きながら、「そんな」と手を横に振ってみせた。
池珍煕は「私はデザインの仕事をしていた時もその職業が最高だと思っていたし、今演技をしているこの瞬間もこの職業が最高だと思う」とし、「この職業は露出も多く、寂しさやマンネリなどの短所も少なくはないが、さまざまな生き方を体験できるのは非常に魅力」と語った。