半世紀温めてきた無人島探検の夢を漫画にした金ウヨン氏

 「名探偵トゥンタンジ」、「トゥンタンジ石器時代」など「トゥンタンジ(頑固で愚鈍で無愛想な人の意)シリーズ」で少年読者に愛されてきた金ウヨン氏(64)が新シリーズ「トゥンタンジ探検隊」を出した。

 金氏は1990年3月1日、少年朝鮮日報に「トゥンタンジ」というタイトルで4コマ漫画の連載を始めて以来、13年間同じキャラクターで漫画を描いている。

 新シリーズは吉昌悳(キル・チャンドク)の「ソンダリ旅行記」、尹勝雲(ユン・スンウン)の「トゥシミ漂流記」など、児童漫画の人気テーマのひとつ「未知の世界の冒険」を扱う。

 トゥンタンジは30万分の1の高い競争率を勝ち抜き、海洋探検隊に選抜される。しかし、希望を胸に埠頭に向かったトゥンタンジを待っていたのは、みすぼらしく古びた船。嵐にあった船は無人島に難破し、子供たちは人食い族に追われることになる。

 金氏は「子供の頃、釜山(プサン)沿岸で暮らしていた時に想像していた無人島を描いた。目新しさより親しみやすさを追求した」と述べた。トゥンタンジは吉昌悳の4コマ漫画「コボンイ」の連載が作家の都合で中断し、その代打として登場したピンチヒッターだった。

 金氏は1970年代後半、「妖怪人間」を発表した人気作家。その後10年間、これといった代表作を出せなかった金氏が久しぶりにつかんだ新聞連載のチャンスだった。しかし急ごしらえのキャラクターだったため、10年以上も人気を集めるとは予想もできなかった。

 刺激のない淡々としたストーリーのため、初期には連載中断の危機もあった。しかし連載開始から5年経った頃、「トゥンタンジ漫画日記」というタイトルで初の単行本を出版し、これが子供たちの間で大反響を呼び、長期連載につながった。

 金氏は「漫画の題材を探す時、私は子供時代を振り返る。あの頃の夢と経験がアイデアの源」と話した。釜山沿岸で無人島探検を夢見ていた頃の憧れが、50年以上過ぎた今も子供たちの共感を得ている。

 漫画の題材を求めて小学校を訪れ、子供たちの遊ぶ様子を見たり、小学生の孫娘と対話したりもするが、その中から発見するのは21世紀の「新人類」ではなく、時空を越えて存在する「童心」だ。

 金氏は「私のあだ名は亀です。のろくても、いつも子供たちに寄り添う“トゥンタンジ”漫画家でありたい」と語った。

金泰勲(キム・テフン)記者
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