「Intolerable Cruelty」に主演したキャサリン・ゼタ・ジョーンズとジョージ・クルーニーは、今年のベネチア国際映画祭最大のスターだった。
3日の記者会見で司会者は「紹介するまでもありません。ジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ・ジョーンズです」とあいさつし、映画タイトルさえもそっちのけで2人の名前を連呼し、イタリアメディアは先を争って2人の写真を1面に掲載した。
4日、イタリア・ベネチアのリド島にあるエクセルシオールホテルで会ったキャサリン・ゼタ・ジョーンズ(34)は、もちろん魅力的だった。彼女は終始華やかな笑顔で穏やかに語ったが、時折言葉を止めて改まった顔つきを見せた時、「マスク・オブ・ゾロ」でアントニオ・バンデラスとともに数多くの男性観客の心を捉えたあの悩殺的な瞳が輝いた。
「あのような撮影経験は初めてでした。シナリオ自体がもともと面白かった上、長期にわたって一緒に撮影してきたスタッフたちはみんな友人だったので、最後まで楽しく撮影できました」
米国のインディーズ映画で名を馳せたコーエン兄弟の「Intolerable Cruelty」でゼタ・ジョーンズは大富豪と結婚後に弱みを握って離婚し、慰謝料を巻き上げる女性を演じ、独特の“クールなセックスアピール”を振りまく。
コーエン兄弟作品にしては珍しく、大衆的なロマンティック・コメディで、ゼタ・ジョーンズは敵として出会う離婚専門の弁護士(ジョージ・クルーニー)の心も奪ってしまう。
「この映画では何より、女性の観客にも魅力を感じてもらえる女を演じたかった」というゼタ・ジョーンズは、クルーニーについて「ユーモアと知性を持ち、共演者が最も演じやすい環境を整えてくれる俳優」と評価し、コーエン兄弟については「俳優を尊敬し、愛することのできる天才たち」と評した。
結婚と離婚に対する冷笑と風刺を盛り込んだこの映画に反して、ゼタ・ジョーンズの実際の結婚生活は順調に見える。世界で最も有名な夫婦の一組であるゼタ・ジョーンズとマイケル・ダグラス夫婦は、25歳の年齢差がありながら仲がいいことで知られ、誕生日(9月25日)も同じで、運命的なものさえ感じさせる。今年4月に第2子カリスを生んだゼタ・ジョーンズは「週に3日撮影に励み、家に帰って妻や母の務めをするのが楽しい」と話した。
今年3月、「シカゴ」でアカデミー助演女優賞を授賞したのは、ゼタ・ジョーンズの幸福の頂点だった。
「今でも居間に飾られたオスカー像を見ると、『まあ、あれが本当に私のものなの?』と思います。オスカーを授賞した時は私の人生で最もすばらしい瞬間のひとつでした。もうオスカーに対する意欲はないかですって?いいえ。いつか『別のもの』(主演女優賞)でもう一度授賞したいです」
しかし、ゼタ・ジョーンズは「ますますひどくなるパパラッチの横暴に心を痛めることが多い。最近でも息子カリスの写真を撮るため、ニューヨークのマンハッタンにある自宅付近ではパパラッチが陣取っている」とスターの苦渋を吐露した。
3年前、ダグラスとの挙式の写真を隠し撮りして無断掲載した英国の雑誌「Hello!」のライバル誌「OK!」には160万ドルの条件で取材を許可したこともあった。
スターの私生活に対するマスコミの病的なまでの執着、大衆に対する露出症と被害意識の間でスターが経験する混乱、スターのスキャンダルを退屈な日常の活力に代えて消費するファン心理、そしてそれを裏で操る商業論理。時折むなしさを感じさせながらも展開される騒乱の真実とは何か?もちろんベネチアでのゼタ・ジョーンズは十分に魅力的だったが。