ベネチア映画祭『浮気をした家族』無冠に終わる

 ロシアのアンドレイ・ズヴィヤギンツェフ監督の「帰還」が6日に閉幕した第60回ベネチア国際映画祭メーンコンペティション部門の最高賞・金獅子賞を獲得した。

 日本の北野武監督は「座頭市」で監督賞(銀獅子賞)を受賞し、6年前の「HANA-BI」で金獅子賞を授賞したのに続き、再び栄冠を手にした。

 最優秀男優賞にはメキシコのアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督のハリウッド進出作「21グラム」で熱演を見せた演技派俳優、ショーン・ペンが輝いた。最優秀女優賞にはドイツのマルガレーテ・フォン・トロッタ監督の「ローゼン通り」に出演したカーチャ・リーマンが授賞した。レバノンのランダ・シャハル・サバグ監督が「凧(たこ)」で審査員大賞を獲得した。

 例年に比べて出品作品のレベルが高かった今年のベネチア国際映画祭は、欧州映画の優位が浮き彫りになった中、アジアの巨匠たちも秀作を発表して注目を集めた。

 ロシアのズヴィヤギンツェフ監督はデビュー作「帰還」で金獅子賞を獲得し、欧州映画界に彗星のごとく現れた。「帰還」は顔さえ覚えていない父が12年ぶりに戻ってきたことに戸惑う2人の息子が、父とともに旅行しながら体験する出来事を描いた作品。

 ズヴィヤギンツェフ監督は画面の要所に深みと質感を加えた優れたイメージ造形と、わずか3人の俳優セけでスgーリーを展開させる緊張感に満ちた独特な表現方法で観客を魅了した。

 硬派な社会、歴史物で国際的に評価されているイタリアの代表的な監督、マルコ・ベロッキオ監督は「Buongiorno, Notte」で評論家の満場一致に近い賛辞を受けた。

 70年代末に極左テロリストたちが起こしたモロ首相誘拐殺害事件の実話を映画化したこの作品は、理想と現実のぶつかり合いがもたらす人生の亀裂を、雄大なタッチで生き生きと描き出した。

 北野武監督の「座頭市」は今年のベネチア映画祭で最も爆発的な観客の反応を呼んだ作品だった。「座頭市」は北野武監督が初めて銃の代わりに刀を持って描いた奇妙な「サムライムービー」だ。

 着物姿の数十人の俳優たちが一斉にタップダンスを踊るにぎやかなミュージカルシーンで幕を閉じるこの映画は、何ものにもとらわれない巨匠の創作精神を感じさせた。

 イム・サンス監督の「浮気をした家族」は無冠に終わったが、地元メディアから好評を博し、深い印象を与えた。

 映画祭期間中、毎日発行された「フィルム・ティービー・デイリー」は「『乙女たちの夕食』(日本公開タイトル:ディナーの後に)から大きく成長したイム・サンスは、この作品を通じて、なめらかではないが客観的で正直な語り口で観客に問いかける」と評価し、イタリアの日刊紙「イル・ガゼッティーノ」紙は「ともすると上流階級が浮気する話に見えるが、実際はセックスに対するコンプレックスが漫然とした現代社会の苦々しい経験を女性ファンに示す作品」と評価した。

ベネチア=李東振(イ・ドンジン)記者
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