第60回ベネチア国際映画祭のコンペ部門「ベネチア60」に進出したイム・サンス監督の『浮気をした家族』が、現地で好評を得ている。
3日夜12時(現地時刻)、イタリア・ベネチアのリド島にあるパラ・ガリレオ劇場で開かれた初の記者試写会は、遅い時間にも拘らず各国の記者や評論家を始め、1000余人の観客らが出席して映画を鑑賞した。
観客らは映画の半ばまで、始終くすくすと笑いながら映画のブラックユーモアを楽しんだ。最もショッキングなシーンと言われる誘拐殺人シーンでは、客席のあちこちから悲鳴が上がった。
この日映画を鑑賞した英ロンドンスクリーンインターナショナルのパトリック・プラーターさんは、「これまでも国際映画祭で性と家族問題を取り扱ったアジアの映画が多かったが、『浮気をした家族』はこのテーマをさらに知的でシリアスな態度で接近したように思える」と話した。
フランス評論家のヴェック・ジョーデックさんは、「ある家族がもっている解体の危機に対し、早まった対案を提示せず、あるがままを描写していく方式が印象的」とした。
3日、『浮気をした家族』製作陣と会ったベネチア映画祭のモーリッツ・デ・ハデルン執行委員長は、「韓国にスクリーンクォーター制がなかったら、このような映画が製作されることは難しかっただろう」とし、「審査には関与しないが良い結果があると思う」とした。
ハデルン執行委員長はこの映画に対して「家族の崩壊という不条理な現実に対する痛烈で軽快な解釈と、登場人物に接近する独創的な演出が印象的な映画」と評している。
イタリア現地のメディアの多くは、昨年のベネチア映画祭に出品された『オアシス』で、障害者の女性を演じ新人女優賞を授賞したムン・ソリさんが、『浮気をした家族』では全く違った姿で熱演していたことに驚きを隠せなかった。
『LIES/嘘』、『島(日本タイトル:魚と寝る女)』、『受取人不明』、『オアシス』など、ここ数年間ベネチア映画祭に出品された韓国映画の殆どが、ショッキングでエロチックなシーンを盛り込んだ映画だったという点に絡めて、『浮気をした家族』を解釈しようとした傾向も少なくなかった。