華やかさの影に隠れた韓国公演文化の一端

 雨の中、4万5000人を沸かせた趙容弼(チョー・ヨンピル)の35周年記念コンサートは、スター趙容弼の偉大さを再確認した現場であると同時に、未熟な韓国の公演文化の一端を垣間見た現場でもあった。

 一部の人々がチケットを予約していたにも関わらず席がなかったり、まったく違う席で公演を観なければならなかった。

 プレイガイドの「チケットパーク」はこの日午後3時30分から、事前予約をした観客に入場券の引き換えを行った。しかし、多くの人が一斉に殺到したうえ公演開始時間が迫り、抗議が激しくなると、チケットパーク側は入場券との引き換えを諦め、予約の確認のみをして入場をさせた。

 さらに抗議が激しくなると、チケットパークは現場から撤収してしまった。その後、警備員と観客との間で激しいトラブルが起こった。現在、チケットパークのホームページの掲示板には、抗議の書き込みが殺到しており、怒りの収まらない観客たちが共同で対応する動きも見せている。

 チケットパークは約1万8000枚の予約を受け付け、このうちの約半分は予め郵送された。つまり、現場でチケットを受け取る人は約9000人だったはずだ。しかし、チケットパークはこれらの人たちが一斉に殺到することを想定していなかったため、今回のトラブルを招いてしまった。過去にこうした大型公演を行った経験がなかったためだ。

 一方、今回の騒ぎは韓国の“観覧文化”の実情も表している。プロモーターによれば、公演規模の大小を問わず、観客の50%が公演開始30分~5分前に会場に訪れる。趙容弼のコンサートも約2万人が公演開始30分前に殺到し、チケットを所持していた人でさえ入場するだけで30分以上もかかった。

 文化先進国の場合、大型の野外公演は最低でも1時間前には入場して公演会場やパンフレットを見たり、簡単な食事などをしながら待つのが一般的だ。

 主催側がいくら事前に「公共の交通手段を利用するように」と強調しても、公演開始から10分後に到着して「車が渋滞して遅れたから払い戻してくれ」という観客もいた。

 招待券を払い戻してほしいという人、雨なのになぜ公演を行うのかと抗議する人もいた。プロモーターの関係者は「国内のインターネットによるチケット予約システムは世界最高水準だが、実際の公演文化は後進国から脱することができないがために今回のようなことが起こった」と語った。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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