エリート証券マンからタレントに大変身した金ジュンソン

 「変身」という言葉を国語辞典で調べてみよ。「姿を他のものに変えること」と書かれてある。最近の芸能界に、この単語の意味とぴったりマッチする人がいる。SBSテレビの週末ドラマ『太陽の南側』に出演中の新人タレント、金ジュンソン(26)だ。

 香港生まれの彼は、米国のウェイクフォレスト大学で哲学と経済学を学んだ後、ヨーロッパ系の投資銀行の韓国支社で億単位の年俸をもらう証券ブローカーとして働いていた。そして2年前、突然何の問題もなく通っていた会社に辞表を出した。「タレントになるため」と言うと、彼の父は激怒して半年以上、連絡を絶った。

 先月30日にスタートした『太陽の南側』で金ジュンソンは、ヒロインの崔明吉(チェ・ミョンギル)の弟役を演じている。

 サンドイッチの専門店を運営する自由で経済的に余裕のある青年事業家。20代のジャズダンス教室の講師(チョ・ヨジョン)と恋に落ちるという設定だ。本人のプロフィールとイメージが多く重なる配役だ。金ジュンソンは苦笑した。

 「ドラマの制作スタッフや広報担当者たちが、やたらに私のプロフィールを強調します。在外韓国人で金融業界の出身なので、話題になるようです。インタビューをする時も、必ず『億単位の年俸をなぜ捨てたのか』といた質問が出ます」

 「関心を寄せてもらえるのは有り難いのですが、正直言って個人的にはプレシャーになりますね。私のプロフィールに合わせてイメージが固定してしまうと、むしろ素晴らしい俳優になる上での壁になってしまうようで」

 会社に辞表を提出してから、金ジュンソンの人生は180度変わった。韓国語、中国語、英語のすべてをネーティブスピーカーのレベルで駆使し、大学時代にはテニス選手として活躍した金融界のエリートから、ミュージカル俳優、そして英語専門チャンネルのクイズ番組の進行者に変身した。

 生活費を稼ぐために英語通訳、サルサダンスの講師、モデルの仕事を掛け持ちし、気分の良い日は若者が多く集まるクラブへ行って楽しく時間を過ごし、未来に不安を感じる日には友人と杯を傾けた。金ジュンソンは「平凡に、それでも一生懸命に生きてきた」と語った。

 そして2年間の無名生活を経て『太陽の南側』の助演にキャスティングされた。

 「私は本当に単純に、そして純粋にただ演技がやりたくて、この道に進みました。ジョニー・デップ、ファン・ジョンミン、 薜景求(ソル・ギョング)が好きですね。自分のイメージや過去に演じたキャラクターのイメージを徹底して壊し、自らに挑戦する姿勢から学ぶことが多いからです」

 「一流の俳優になるまでは、いくら時間がかかっても構いません。

私が絶対になりたくないのは“アイドル”ですから」

金スヘ記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース