「崔民秀(チェ・ミンス)」は、いつの間にか一人の俳優の名前だけでなく、カリスマ溢れ自己主張の強い人の代名詞になってしまった。しかし“本物”の崔民秀は、ユーモラスな面も多い、とても愉快な人物だ。
2年ぶりにSBSテレビの『太陽の南側』(脚本:金ウンスク、演出:金スリョン)に出演する崔民秀は、久々にテレビ局を訪ねた所為か、少し興奮した表情だった。大物らしい「一言」を期待していた記者に向って崔民秀はこう語った。
「私はとても古いタイプの人間なんですよ。今回のドラマではそんな姿を満喫できるはずです」
今回のドラマで彼が演じるのは、復讐と愛を夢見る主人公 カン・ソンジェ。友人のヨンテ(ミョン・ロジン扮す)の陰謀で、恋人のミンジュ(ユ・ソン扮す)を失い、収監されてしまう。偶然の手紙がきっかけとなって、ヨンヒ(崔明吉(チェ・ミョンギル)扮す)と恋に落ちるが、ミンジュとの再会で煩悩する人物だ。
先月、東海岸で休暇を過ごしていた際にシナリオを受け取ったが、読んですぐ「これだ」と思ったという。
「原稿用紙に万年筆を走らせるような感じ、とでもいいましょうか。ソンジェとヨンヒの愛は、原初的でありながらも牧歌的なんです」
生まれつきの愛妻家だと主張する崔民秀は、インタビューの途中に掛ってきた妻 カン・ジュウンさんからの電話に、「~しています。はい、いいえ」と丁寧な言葉を使っていた。若しかしてわざとそう言っているのかと疑ったが、彼は断固として「こうしないと叱られますから」と大声で笑った。
巷に出回っている崔民秀を素材にしたジョークシリーズを聞いたことがあるか、という質問にも、彼は例の人の良い笑顔で答えてくれた。
「韓国の人たちは情が濃いからそうなんでしょうね。映画の中の人物と私を同一視するらしいんです。今回のドラマが終わったら、また違う崔民秀のジョークバージョンが出るかも知れませんね」。