釜山~ソウルを歩いて韓国を詠んだ日本の新世代俳人 黛まどかさん

 釜山(プサン)からソウルまでの500キロの距離を歩き、韓国の風情にたっぷりと浸った日本の新世代の俳人、黛まどか(38)さん。

 黛さんが最近、韓国で出版した『歩いた、唄った、そして愛した(日本名:サランヘヨ-韓国に恋をして)』(アッチムパダ)は、釜山~慶州(キョンジュ)~安東(アンドン)~水安堡(スアンボ)~利川(イチョン)~ソウルを旅する道中で詠んだ58首の俳句と魅力的な旅行記で、韓国を詠んだ俳句紀行だ。

 黛さんが日韓文化交流寄金の訪韓団の一員として最近、訪韓した。俳句は5・7・5の17文字で成り立った日本の定型詩。女性のための俳句専門月刊誌「ヘップバーン」代表として活動する黛さんは、新世代に合った新しいスタイルの俳句を提唱し、日本の文壇で注目されている詩人だ。

 「なぜ俳句か」との質問に、「短いのが最大の魅力です。でも、その中に宇宙を創ることができるんです」と語った。

 「俳句会は“愛”などのテーマで作品を作る20代の女性たちで人気です。俳句もこれからは、ますます敷居が低くなっていくでしょう。難しい詩語に代わって日常で使う言葉を使ってキーワードの幅を広げるのです。米国やフランス、スペイン、イタリア等でも自国語で俳句を創作する集まりが発足しています」

 1999年に日韓文化交流会の会員になった黛さんを韓国に導いたものは、未堂・徐廷柱(ミダン、ソ・ジョンジュ)の詩『蓮に逢いにゆく風のように』との運命的な出会いがきっかけだった。

 「蓮に逢いにゆく風ではなく/逢って帰る風のように/きのうおとつい/逢って帰る風でなく/2、3度過ぎ去ったあの季節に/逢って帰る風のように…」

 「『蓮に逢いにゆく風』という詩句が、まるで俳句のように私の心に刻まれました。未知の国、韓国で咲く蓮からはどんな香りがするのだろう。その詩句に導かれて韓国語会話の本と地図、そして一冊の詩集をリュックに詰めて出発しました」

 徒歩旅行を選んだ理由は何だろうか。黛さんは「『なぜ歩くのか』という疑問は、『なぜ俳句を詠むのか』という疑問と相通じる」と話した。

 「一輪のすみれの花を見つけ、その場にしゃがみ込んだり、韓国の大地に根を下ろしている古い木の下で涼んだりする時、私は歩く旅人にのみ与えられる天からの贈り物をもらったような気分になります。そして、俳句もやはり、そのような瞬間に生まれてくる」というのだ。

 黛さんがそれぞれ異なる季節に、5回に渡って韓国旅行に出た時期(2001年8月~2002年10月)は、日本首相の靖国参拝と歴史教科書のわい曲問題で反日感情が高まっていた時期だっただけに、心は重かった。

 しかし、道端で会った韓国人たちが分けてくれた人情は深く、濃かった。あいさつを交わすだけでなく、食事の接待を受けたことも数え切れないほど多い。

 詩人の高銀(コ・ウン)さんは「一句の詩で韓国の国土と人生を唄った黛さんの俳句は、異国の情緒と自然を盛り込んだ稀の感覚を味わせてくれる」評価した。

 「機会があれば、旅路で会って友になった人たちと一緒にソウルから板門店まで、ひいては北の地にまで行ってみたいですね」

崔洪烈(チェ・ホンヨル)記者

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