配役を目にした時、自然と適任者が思い浮かぶ時がある。30日に初放送されるSBSテレビの新週末ドラマ『太陽の南方』(脚本:金ウンスク、カン・ウンジョン、演出:金スリョン、金ジングン)の主人公 カン・ソンジェもそうだ。
SBSの資料にはこう書かれてある。「檻の中に閉じ込められた野獣のように、肉体が縛られている男。毎晩、愛と復讐を夢見る男」
さあ、誰が思い浮かぶだろうか。そう、崔民秀(チェ・ミンス/41)だ。
「私がこのドラマで話そうとすることは、結局、懐かしさ、でしょうね」
ゆっくりとしたしゃべり方。白黒の太極模様のネックレスが同じトーンの黒のTシャツの上で、時計の振り子のように揺れている。靴は先の尖がったブーツだ。
彼は「何かを変えることが嫌いで」という。「携帯電話の画面も未だ白黒だし、服も10年以上着古したもの」としながら、柔らかな笑みを浮かべる。
繊細さと安楽さを意図的に強調する語法と表情が、「男性的なカリ スマ」と対称的に重なる。
同意語のように彼に付きまとう“カリスマ”が、自分自身は飽きないだろうか。11年前、全国の視聴者をテレビの前に呼び集めたドラマ『愛とは何ぞや』の図々しい“テバリ”は、もう期待できないのだろうか。
崔民秀はこの質問に、「いつも変わらず、いいシナリオがあれば、その作品を演じただけ。コミック演技だからといって、わざとそれを排除したわけではない」と言った。
「一生を貫くアナログ的な愛」をテーマにしたこのドラマで、崔民秀はチェ・ミョンギルとユソンの間で苦悩する。最愛の親友から裏切られ、刑務所に入れられた彼は、愛まで奪われ、挫折する。
崔民秀は「トレンディードラマとは違って、今回のドラマでは古典的な感受性を感じられるはず」とし、「私自身、テンジャンチゲ(韓国の味噌鍋)とパソコンの中間あたりに属する世代」と言う。
「男性的カリスマ」漂う崔民秀流の語法は、「重苦しい文語体と親しみある口語体の中間あたり」と言えるだろう。
一例に、「紙の上に走らせるペンの音、そんな感じが好きですね。ドラマも同じです」などといった彼の言葉がそうだ。
崔民秀は「ドラマの台詞は、単にある情報を伝える手段に過ぎないのではないと思う」とし、「ある時は、ただその瞬間の感情だけをすっと表現するだけで、役割を果すことになるのが台詞だ」と、再度、特有の語法を駆使した。