MBCドラマ『茶母』で女性刑事を好演するハ・ジウォン

 16:9の割合で調整されたブラウン管に透き通った顔が浮かんだ。愛する捕盗庁の従事官に代わって自分の腕を切り落としてほしいと頼んだ直後だった。ぶるぶると震える眉の下の、深い悲しみに満ちたハ・ジウォン(24)の瞳が視聴者の心に刻まれた。

 28、29日に2回分を放送したMBCテレビのドラマ『茶母』 (チョン・ヒョンス脚本、李ジェギュ演出)でハ・ジウォンは、主人公の茶母(朝鮮時代にソウルや地方の各官庁に属して接待を受け持った召使の女性)、チェオクを演じる。朝鮮中期以降には、捕盗庁などで特殊任務を受け持った女性刑事を指す。

「無理なスケジュールでしたが、私からやると言い出しました。キャスティングのオファーを受けて2回分までのシナリオに目を通しましたが、とても気に入ったんです。“武侠”という言葉のために、このドラマが男性向けだと思っている方が多いようですが、この作品はれっきとした女性向けのドラマです」

 MBCが発表したこのドラマの紹介資料には「武侠ドラマ」「刑事時代劇」「娯楽活劇」というジャンルが書かれている。しかしハ・ジウォンの言葉通り、このドラマは「恋愛時代劇」であり「ラブストーリー」でもある。

 ハ・ジウォンが演カる茶母、チェオクと李ソジンが演じる捕盗庁の従事官、そして新人の金ミンジュンが演じる剣の達人、チャン・ソンベクとの間に生じる三角関係が、美しい映像と共に展開されるからだ。

 「胸に突き刺さるような愛、という言葉がぴったり合います。胸が痛むような愛が私を揺さぶりました。シナリオを読みながら、武侠というよりは少女漫画を読んでいる感じでした」

 朝鮮時代の茶母はマッコルリ(濁り酒)3杯を一気に飲み、米5斗を持ち上げられなければならないという。捜索や内偵が主な仕事のため、武術の腕前も必要なのは言わずと知れたこと。

 ハ・ジウォンは「演技のために武術や乗馬をアクションスクールで一カ月間学んだ」としながら、「最近では刀と私の体が一体化した感じがする」とまで言う。

 今年の1月から撮影を始めた『茶母』は“電柱のない”全国の至る場所を探し回ってロケを進めるなど、苦労も少なくなかった。最も苦労したことをたずねると、すぐに「丹陽(タンヤン)のある洞窟で寝ずにロケをした2泊3日間」を挙げた。

 「私のこれまでの人生で、あれほど恐ろしかったことは初めてでした。洞窟の中では落石は続くし、雨が入り込んで膝まで浸かってしまうしで、住民にも危ないと撮影を止められたほどだったんです。スタッフは皆、ヘルメットやマスクをしていましたし」

 その苦労はある程度、報われているようだ。二日間の放送で4000人以上の会員が集まるファンクラブ「茶母児」が結成され、インターネット上には約9000件以上の『茶母』を称賛する書き込みが溢れた。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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