「寧越・本の博物館」の再生に乗り出した人たち

 地方の小さな本の博物館を再生させようと各界の知識人らが立ち上がった。

 大学教授、弁護士、宗教人から写真作家、画家、コメディアン、歌手に至るまで、財政難で閉館の危機に追い込まれた江原(カンウォン)道の「寧越(ヨンウォル)本の博物館」を再生させようと意気投合した。これら有志は29日午後、ソウル市・光化門(クァンファムン)の飲食店で博物館を再生させるための第一回集会を開いた。

 寧越・本の博物館はソウルで古書店「ホサンバン」を17年間運営した朴大憲(パク・デホン/51)館長が「私の人生で本との縁を意味あるものにしたかった」と99年にオープンした。

 寧越郡の閉校になった小さな校舎を借りて、約3万6000点の貴重な本を展示してきた朴館長は、1000~2000ウォンほどの安い入場料で観覧客に“知識の宝庫”を開放してきた。毎年、数回の企画展示、音楽会、パフォーマンスなどを催して、近隣の住民らに新しい文化を経験する機会も提供した。

 しかし朴館長は、約2万人の訪問客を迎えながらも、毎年、寧越教育庁に支払わなくてはならない賃貸料1000万ウォンを3年間滞納し、「催促」に苦しんでいる。教育庁は「8月31日までに滞納分をすべて納めるように」と通知した。

 こうした状況を知り、朴館長の活動に感銘を受けた各界の知識人らが、博物館再建のために立ち上がった。この日の集会で、ある教授は「国民的な募金運動を展開しよう」と提案し、画家や写真作家らは「ソウルで開いた展示会の収益金を本の博物館に寄贈する」と表明した。

 後援会長で画家の金正(キム・ジョン)崇義(スンイ)女子大学教授は「今や広く知られるようになった寧越・本の博物館が、経営難で閉館すると聞いて胸が痛んだ」としながら、「街頭で『博物館救済助キャンペーン』も行う計画」と述べた。

 朴大憲館長は、今回の危機を乗り越えれば、博物館周辺の廃家を買収し、本の村を作りたいという抱負を持っている。空家を修理し土垣を建て直して、書店やギャラリー、カフェなどが集まった「文化村」を作るという夢だ。

 毎年5月には2週間にわたって本の祭り「ヘイ・フェスティバル」が開かれ、多くの観光客が訪ねる英国ウェールズのヘイ・オン・ワイ村が、朴館長の描いている想像図だ。朴館長は自分自身の夢を完璧に実現するため、郡が学校を買入して無償で払い下げるという提案も断った。

 朴館長は、「郡からの払い下げを受ければ、いろいろと制限があるかも知れないという点が気に掛かった」とし「自分の人生をかけて繰り広げる文化事業だから、自分の思う通りにしてみたかった」と語った。

全京秀(チョン・キョンス)ソウル大学教授は「寧越(ヨンウォル)本の博物館は、都会と地方の差が激しい韓国社会の中で、地方を中心にした新しい“文化運動”の始まりという意味をもっている」とし、「“文化コンテンツ”の時代と言われるが、政府はあまりにも無関心のようだ」とした。

 寧越・本の博物館の後援会には金ジョン会長を始め、ユ・ソンモク寧越文化院長、全京秀ソウル大学教授、白雲(ぺクウン)寺の法輪(ボプリュン)僧侶、画家のユ・ヤンオクさん、李起雄(イ・キウン)坡州(パジュ)出版文化団地理事長、 鄭守一(チョン・スイル)元壇国大学教授、李姫載(イ・ヒジェ)淑明女子大学図書館長、写真作家の金クァンスさん、詩人の金ヨンテクさん、コメディアンの全裕成(チョン・ユソン)さんなど25人が参加している。

チェ・スンヒョン記者
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