中国迎賓館の味覚を魅了させた新羅ホテルの白英蘭料理長

 「中国の高官も舌を巻いた韓国人シェフ」

 新羅(シルラ)ホテルの白英蘭(ペク・ヨンラン/40)韓国料理担当料理長が、今月3~10日、中国の迎賓館・釣魚台で韓国料理の指導を行った。中国を訪問する世界各国の指導者らが宿泊する釣魚台が、韓国料理を学ぶために韓国人シェフを招いたのは今回が初めて。

 白料理長は二回の宴会で約30種類の韓国料理を中国高官らに披露し、大好評を得た。元外交部長で現在は国務委員として中国の外交政策を担う唐家セン(65)氏は、白料理長を直接テーブルに呼び、料理を誉めたという。

 「ビビンバを初めて食べるという唐国務委員が、どうやって食べるのかとお聞きになりました。コチュジャン(辛味噌)、胡麻油などを好みに合わせて入れて、交ぜて食べると説明しました。一口食べて、とても気に入られたようでした。釣魚台の総支配人が満面の笑みで厨房を訪れました。次官レベルの待遇を受けている総支配人が、厨房まで来るのは非常に珍しいことだと、中国人シェフたちが言っていました」

 白料理長は「ビビンバだけではなく、焼肉や冷麺も好評でした」としながら、「特に高麗人参が入った蓼鶏湯(サムゲタン)の反応が良かった」と語った。

 「韓国では蓼鶏湯用に450グラムのニワトリを使うのですが、現地で揃えることができませんでした。それで1キロのものを使ったのですが、唐国務委員は残さずに全部召し上がってしまいました。しかも7種類の料理を召し上がった後にです」

 迎賓館には今月7~10日に訪中した盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も二日間滞在した。白料理長は「釣魚台は中国を訪問する世界中のVIPを迎える場所だけあって、料理や衛生面は特級ホテル以上だった」と話した。

 「釣魚台だけの特別なソースが別にあって、料理を皿に盛る方法も違うんです。建物ごとに2000人までの宴会が可能で、シェフも200人を超えます。職員たちは容姿端麗で、釣魚台を辞めてモデルとして活動する人もいると聞きました。ところが勤務条件が厳格で、釣魚台にいる間は恋愛もできないそうです」

 韓国料理が釣魚台に進出することになったのは、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響もあった。中国メディアは、全世界を襲ったSARSが韓国では発生しなかった原因としてキムチを挙げ、中国で韓国料理に対する関心が高まった。

 白料理長は「テレビさえつければ“コリアンキムチ”というCMやキムチを扱った番組をやっていて、どの中国料理店にも酢を入れて中国の人の好みに合わせたキムチが必ずあった」と話す。

 白料理長は釣魚台の職員を対象にした韓国料理の講義と実習で、「韓国料理の優れた点、特にキムチを含む発酵食品を主に紹介した」としながら「秦の始皇帝は不老長寿の草を探し出そうとしたが、不老長寿の草より、ニンニクやキムチをたくさん食べると韓国人のように美人になり、健康にいいだけでなくSARSの予防にもなると強調した」と笑った。

 今年でこの道19年になる白料理長は、もともと電話交換手になるのが夢だった。高校を卒業した80年代始め、専門学校でテレックスを扱う資格も取得した。

 料理人になったのは偶然だった。「アルバイトのつもりで」軽い気持ちで受けた新羅ホテルの料理人募集試験に合格したためだ。

 白料理長は「トラジ(キキョウの根)のナムルと蕩平菜(タンピョンチェ/細く切ったムク(ソバ、ドングリ、緑豆などの粉末をゼリー状に煮固めた食品)と野菜の和え物)が実技試験の課題だった」と記憶している。食べ物がおいしいことで知られる全州(チョンジュ)出身の上、料理上手の母親のおかげで、料理は得意だった。

 気軽な気持ちで始めた料理が天職となった。夫も料理人として働いており、夫の家族も多くが料理と関係のある仕事をしている。

 白料理長が最も自信のある料理は「チャンアチ」(ダイコン、キュウリ、ニンニクなどを適当な大きさに切って干し、醤油に漬けたもの)だ。200種類近くもあるチャンアチの中でもダイコン、エゴマの葉、ウメ、カキなどを使った20種類はお手のものだ。

 「チャンアチはもともと味の濃い料理なので、さっぱりとして食欲をそそるんですが、味が口に残りやすい」という。おいしいチャンアチを作るため、白料理長はスケジュールの合間を縫って、ソウル・臥龍(ワリョン)洞にある伝統料理研究所に足を運び、勉強を続けている。最近にはタケノコを利用したチャンアチに関する記録を古い文献から見つけ出し、再現したという。

「食べた後もいつまでも記憶に残るような料理を作りたいです」金成潤(キム・ソンユン)記者
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