「“声の魔術”は演技力から」声優アン・ソヨンさん

 「天の声」。50~70年代、ラジオドラマが最高の人気を集めていた頃、人々は“声の魔術師”たちをこうたとえた。しかし、映像文化が活字と声を圧倒している2003年の韓国で、声優たちの「領域」は徐々に小さくなっている。

 そんな中、「声優になる方法」(ルックスブック発行)を出版したフリーの声優、アン・ソヨンさん(35)は「その主張には同意しかねます」と反ばくした。「声優はただ声を出すだけではなく、演技をするのです」というのがアンさんの持論だ。

 「テレビドラマが登場してから、声優たちの時代は終わったと言われました。でも海外ドラマシリーズが人気を集め、再び私たちの役割が注目されました。それが一段落した最近は、テレビのアニメシリーズで『隠れたスター』として定着しています」

 もちろんアンさんも「声優業に危機感を持っているのは事実」と認めた。映画館でも「吹き替えよりも字幕を好む」のが現状で、以前のような人気はない。

 しかしアンさんには「オーディオを通じてのみリスナーや視聴者と接するため、より正確な伝達力と演技力を必要とする存在」という自負心がある。

 アンさんは「声は絵の具のようなもの」と語る。「人によって赤い色や青い色の声があり、濁った青があるかと思えば、透明な赤もある」という。この本のタイトルも「声優になる方法」ではあるが、就職ガイドブックとして書いたわけではないという。

 「少しだけ努力すれば、正確な呼吸と発声、それから効果的な意思表現として自分の声と言葉遣いを変えることができます。澄んで力強く、美しい音色ナ自信を持って話す人には、遠ざかっていた幸運も近づいてくるのではないでしょうか」

 1992年、KBSの第23期専属声優公開採用試験に合格し、声優としての第一歩を踏み出したアンさんは、国軍放送(FM101.1)の「その時、その頃」の進行のほか、KB放送の文化院で声優養成講座の講師も務めている。

 アンさんの話を聞いて、ラジオドラマを生放送する声優たちの物語を愉快に描いた日本映画『ラヂオの時間』が思い浮かんだ。

 アンさんは「普通の人でも、自分の中にある違う声を探す努力を続ければ、これまでとは全く違う世界に飛び出す経験ができるはず」と目を輝かせた。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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