無二の親友だった男たちの悲劇的な運命『清風明月』

 変則的なラブコメ映画全盛の忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)で、チョ・ジェヒョン、崔民秀(チェ・ミンス)主演の『清風明月』(16日公開)の正攻法は、むしろチャレンジだ。

 「仁祖反正(インジョ・バンジョン/光海君(クァンヘグン)を追い出して仁祖が王位についた政変)」を背景に、正反対の運命に翻弄された2人の武士を描いたこの作品は、終始一貫して悲壮美を追求する大作時代劇だ。

 「運命を飲み込んだ血の時代」から始まり、「時代はたった一人の英雄を望むが…」で終わる予告編の解説字幕が、この作品の性格を物語っている。

 スクリーンデビュー作『結婚物語』(1992)で韓国映画のロマンチック・コメディの質を上げた金ウィソク監督は、初のアクション時代劇で、さまざまなアクションを試みた。

 雑草が燃え上がる沼地から寂寥感に包まれた宮殿の中まで、場所と武器を変えながらの剣術シーンが随所に見られる。腕や首が吹き飛ぶシーンまで描写し、歴史の激変期の残酷な対決を描き出そうとしている。

 しかしワンシーン、ワンシーンは印象的だが、全体的に見ると『清風明月』は2時間の予告編を見ているようだ。話のあらすじとなる設定がいくつか確認されるだけで、その設定のつなぎが弱い。時代劇だからと、話の流れまで古色蒼然たる必要はない。

 しかし、無二の親友だったが、時代の巨大な渦に巻き込まれて正反対の立場に立たされた2人の男を主人公に、師匠の娘との恋も織りまぜた映画のストーリーは、簡単に展開が読めてしまう。

 王の処遇に不満を抱く功臣が「天子の位に就いたのは誰のおかげと思っての所行か」と脅迫するなど、時代劇としては“過激な”台詞もいくつか気になる。

 チョ・ジェヒョンと崔民秀は溢れるエネルギーで定評のある役者たちだ。しかし時代ものの型にはまったキャラクターは、いくらすばらしい役者でも、その動きの幅を著しく狭めてしまうという事実を、この映画は改めて気付かせてくれる。

李東振(イ・ドンジン)記者
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