ユン・ドヒョンバンド「W杯人気はバブル…原点に戻る」

 次の5項目にすべて当てはまれば、あなたはユン・ドヒョンバンドのファン合格だ。

 ①『愛 Two』は何番目のアルバムに収録された曲か?②『王冠を被った馬鹿』を歌うことができるか?③映画『ジャングルストーリー』を観たか?④ミュージカル『ケトンイ(つまらない奴)』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『ハードロックカフェ』のうち一つ以上でも観たか?⑤ユ・ビョンリョル、オム・テファンというギタリストを知っているか?

 今月末にリリースするニューアルバムをレコーディング中のユン・ドヒョンバンドに会った。2001年7月リリースの5thアルバム『都会人』以来の6thアルバムだ。

 ユン・ドヒョン(31)、朴テヒ(34/ベース)、金ジンウォン(33/ドラム)、ホ・ジュン(29/ギター)からなるユン・ドヒョンバンドは、今回のアルバムでパワフルなヘビーメタルバンドに変身した。

 国内トップクラスのヒップホップデュオ「ドランクンタイガー」とユン・ドヒョンがコラボレートし、他の曲では国内ヘビーメタルグループ「クラッシュ」を凌ぐスラッシュメタルサウンドを披露する。

 「サッカー・ワールドカップ(W杯)韓日大会や女子中学生追悼コンサートをきっかけに多くの人に知られるようになり、そうしたことが音楽に影響を及ぼしました。私たちは過去に戻りたいのです。パワフルな音楽、自由への渇望に満ちた音楽がやってみたかった」(ユン・ドヒョン)

 『オー!必勝コリア』に代表されるユン・ドヒョンの「W杯イメージ」は、彼らを一躍「国民的バンド」にしたが、実際にヒットした曲は『愛 Two』や『君を送って』といったロックバラードだけだ。2曲共、9年前に発表した1stアルバムに収録された曲だ。

 ユン・ドヒョンバンドは愛称の「ユンバンド」を全面に打ち出し、アルバムのジャケットに「YoonBand」と表記した。4人の中で人気が突出しているユン・ドヒョンという名前を伏せ、“バンド”を強調した。

 「顔が売れてお金も少し稼ぎました。でもそこに落ち着いてしまえば、それだけの音楽しかできません。W杯人気は明らかに“バブル”です。バンドを始めた頃の初心を大切にしたいと思います」(金ジンウォン)

 全13曲中、レコーディングが終わった8曲を聴いてみた。ニューアルバムで特に印象的なのは、ホ・ジュンのギターだ。ジャズギタリスト出身のホ・ジュンは、完璧に「ユンバンド」のサウンドに溶け込んでいる。

 ユ・ビョンリョルを彷彿とさせる華麗なプレーや、『花びら』などの曲でメタルギターとアコースティックギターが重なる部分では、思わず感嘆詞が飛び出す。

 ユン・ドヒョンも爆発的な声量を思う存分、発揮している。ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』で世宗(セジョン)文化会館を湧かせたそのボーカルは、『花びら』『死のうが死ぬまいが』といったメタル曲で高圧電流のように火花を散らす。『君を送って』に食傷気味だった昔からのファンには待望の曲だ。

 センス抜群の朴テヒのベースとパワードラマー、金ジンウォンの演奏も楽曲に安定感を与え、アルバムの完成度を高めた。

 『ユンバンド・ストーリー』は、メンバー4人のエピソードを盛り込んだ曲だ。

 ヒップホップのリズムにラップと歌を織りまぜた曲で、「安いペクパン(海賊版LP)を集めて夢を育てた」頃のユン・ドヒョン、「両親の膝元でフルーツの配達」をしていた金ジンウォン、「慶尚(キョンサン)北道の倭館(朝鮮時代に日本の貿易使節が滞在した建物)の藁葺きの家」出身のホ・ジュン、「ルームサロン(高級個室バー)で洋酒を持ってあちこちの部屋」を回ってウェイターをしていた朴テヒのエピソードがつづられている。

 ミソンさん、ヒョスンさん(米軍装甲車に轢かれ死亡した女子中学生)を追悼した曲『花びら』や、米国の権力批判とも取れる歌詞の『死のうが死ぬまいが』は、おそらく放送されるのは難しいだろう。

 W杯以降の「ユンバンド」のファンは、無難なロック『愛する』で慣らしてからメタル曲に移るのがよさそうだ。

 「政治色が濃いバンドだと見られるのは残念です。昨年の大統領選挙前に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補がコンサートに来て握手を求めるので、『盧候補に投票するつもり』と言っただけなのに、政治的に利用された面があります。

私たちは、はじめから社会の不条理を批判する音楽をやってきました」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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