型破りで衝撃的な写真で有名な金我他(キム・アタ/47)氏が最近、訪米から帰国した。以下、金氏が訪米中に挙げた成果だ。
▲現代写真の“メッカ”として知られるサンフランシスコ現代美術館に写真3点を売った。価格は作品1点当たり2万ドル以上。韓国人写真家としては異例の記録だ。▲世界的な写真専門の出版社が15万~20万ドルを投じて来年「金アタ写真集」を出版する。▲写真作家の憧れ、ニューヨークのICP(国際写真センター)での展示も来年予定されている。
金氏は今や「世界的な韓国人写真作家」になったと言える。国際舞台に本格的に紹介されてから3年。
「私は2000年にヒューストンに発掘されたでしょう」。ヒューストン写真フェスティバルに招かれた時のことだ。それ以来、英国の芸術専門の出版社「パイドン」に「世界の写真家100人」に選ばれた。
昨年はブラジル・サンパウロのビエンナーレに参加した。現在、世界的な写真作家12人とともに、ヒューストン写真フェスティバルを主催し、ロシア巡回展に参加している。
「世界の写真界はあなたに何を見出しているのか」と聞くと、金氏は「世界は東洋を求めている。正直言って、彼らが求めているのは中国と日本であり、私はその間に割り込んだ感じもする」と語った。「韓国的なものが世界的なものとは限りません。最も『私らしいもの』が世界的なものなのです」
金氏は「米国は世界美術の中心と言われるが、アンディ・ウォーホル、シンディ・シャーマン(ポストモダン写真の中心)以降、これといったスターがいない」としながら、「美術界全体が新しいスターを求めて迷走している雰囲気」と語った。
「20代半ばの写真作家の大型展示がホイットニー美術館で開かれます」。その中で金氏は「ビエンナーレ型の大型作家になる」という意気込みで善戦している。
3年前の世界デビュー以降、名前も「金ソクチュン」から「金アタ」に変えた。「本名がとても重く感じ、英語で表記した時の語感が不自然だったせいもありますが、私の正体が私の手の内に納まった時、父が付けてくれた名前ではなく、自分の名前を自分で付けようと思いました」
「我他」とは「謙遜して言えば『あなたと私は同じだ』で、傲慢に言えば『私自身が宇宙』という意味」だそうだ。
金氏の作品の中では『解体シリーズ』と『博物館シリーズ』が特に有名だ。各所に裸体が散りばめられた解体シリーズは「人間という観念の固まりを、自然に種を撤くように散りばめてみた」と語る。「服も観念」という作家は、裸になった体に透明のアクリルの箱を着せて撮影する『博物館シリーズ』を披露する。
今回、サンフランシスコ現代美術館に売れた作品は、最新作の『放送シリーズ』。 「放送イコール虚像という意味です」。
作家はサッカースタジアムで2時間、非武装地帯の近くで8時間、大統領就任式の会場で5時間座って写真一枚を撮る。
長時間の露出で背景に大きな変化はないが、動く形象はすべてが飛んでいってしまったような跡だけが残る。「その間、私はパソコンにあれこれと断想を書いて一人で放送するのです」。
「存在するすべてのものは消える」ことを、これ以上克明に表現することができようか。すべてのものを記憶しようとする写真と、すべてのものを消そうとする自然を対比した『放送シリーズ』は、9月にソウル市内のハンミギャラリーで展示される。