「一夜明けたら有名になっていた」という詩人、バイロンの言葉は、子役タレントの金ジソン(12)にも当てはまる。
先月20日に放送されたMBCテレビのベスト劇場『私たちの作文教室』で、小学校4年生のウナ役で出演したこの子役の主人公は、視聴者たちの反応に戸惑いを見せた。
単発ドラマであるベスト劇場の場合、担当プロデューサーがホームページの視聴者掲示板に掲載する「演出ノート」の平均照会数は通常300件にも満たないが、『私たちの作文教室』は9500件以上を記録した。
そして、視聴者のほとんどは、主人公を演じたこの子役が「一体誰なのか」という反応を示した。
実際に会ったこの“子役スター”は、ブラウン管のイメージよりもはるかに幼く見えた。「クラスの中でも小さい方」でコンプレックスだという。一山(イルサン)トギ小学校5年生。身長141センチ、体重29.8キロで、声が良く通る。
『私たちの作文教室』は、年を重ねるごとに厳しくなっていく世の中で「大人になる」という意味を小学生の視点で描いた作品。
『虎先生』や『シャンプーの妖精』で知られる黄仁雷(ファン・インレ)プロデューサーが、1年ぶりにメガホンを取って話題になったが、それ以上にこの“子役スター”の誕生が話題の中心となった。
大人になりたいという気持ちを巧みに演じた金ジソンの演技は、視聴者の脳裏に強烈に焼き付いた。
「放送が終わってから、制作チームから電話をもらいました。視聴者掲示板が大変なことになっているって。まだ私にはファンクラブはありませんでしたが、今回のドラマ出演で、ある女性ファンの方がファンサイトを作ってくれました。本当にうれしかったです」
ファンサイトのアドレス(cafe.daum.net/cutejisun)を教えるジソンの声が舞い上がる。今までに出演したドラマ『6兄妹』と『母よ、姉よ』、そして映画『燃ゆる月』の写真もすべて掲載されているという。
やはりブラウン管の外の「ウナ」は、まだ小学生だ。ローラーシューズで転んだひじの傷も、頬も真っ赤だ。
今回のドラマのテーマを尋ねると「大切な人のために、本当に大切なものを捨てる時が本当の大人になる瞬間」と言う答えが返って来た。
しかし「ジソンが好きな人がジソンに演技を辞めなさいと言ったらどうするのか」という酷な質問をすると、「それはちょっと難しいですね…」と言いながら真っ赤な顔をさらに赤らめた。