林権澤監督「スクリーンクォーターを縮小すれば映画をやめる」

 林権澤(イム・グォンテク/67)監督が「もし韓国政府が米国の要求を大幅に許容してスクリーンクォーター制を縮小する事態が起きた場合、その日から私は映画をやめる」と宣言した。

 米国のスクリーンクォーター制(国産映画の義務上映)の縮小要求について、政府内でも議論が続く中、林監督は17日の朝鮮(チョソン)日報のインタビューで、決意したかのように語りだした。

 ちょうど1年前に『酔画仙』でカンヌ映画祭の監督賞を受賞した韓国映画界の巨匠は、スクリーンクォーター制の危機に対してひどく激昂していた。経済官僚たちへの無念を語った時には「本当に気がおかしくなりそうだ…」という表現まで飛び出した。

-スクリーンクォーターに対する世論が以前とは異なる。「多少減らしたらどうか」、「映画で飯が食えるのか」といった言葉まで出ているが。

 「非常にもどかしい。『少数の映画人の利益のために国家経済が犠牲にならなければならないのか』といった具合に見たら本当はいけないが、最近はそういう流れになってきている。そうした世論にスクリーンクォーター制が完全な餌食になっている」

-基本的な話だが、なぜスクリーンクォーター制をそこまで固守しなければならないのか。

 「韓国映画がここまで成長して地道に制作されているのは、スクリーンクォーターという保護があったからだ。劇場に上映の義務があるため、韓国映画の安定した需要があり、投資にもつながった。こうしたものがなかったら、誰が私に『西便制』や『酔画仙』のような金にならない映画を制作しようと言うのか。もしこの保護がなくなれば、韓国映画は完全に活気を失い、投資家たちは引潮のように消えていくはずだ。そして最後には韓国映画自体が地球上から完全に消えてしまうのだ」

-スクリーンクォーター制の有無に関わらず、競争力のある作品を作れば劇場側が受け入れるのではという主張もあるが。

 「映画制作の実態を知らなすぎる質問だ。映画というものは巨大な資本が確保されてこそ作ることができるが、スクリーンクォーター制が崩壊すれば、映画の出来の良し悪しではなく投資家が現れず、映画を作ること自体が難しくなる。自国映画が崩壊した台湾やインドネシアは今、自国映画を作りたくても作ることが出来ない。人手もなく、配給網もないからだ。他人事ではない」

-文化観光部の長官は「スクリーンクォーター制の維持」を繰り返し主張してきたが、経済副首相が韓米投資協定(BIT)締結のためスクリーンクォーター制縮小論を唱え、大統領府内でも縮小論が主張されていると伝えられているが。

 「経済官僚の多くは米国で学んだ人たちだろう。韓国映画を愛する若い世代とは違い、この世代のほとんどは韓国映画がレベルの低いものだと思っている。彼らは映画を娯楽としてしか考えず、もっと面白い米国映画を観ればどうかとでも思っているようだ。財界はまだしも、永遠にこの地と私たちの文化を守らなければならない官僚たちが付和雷同して韓国映画をなくそうとするのは、本当に気がおかしくなりそうだ…」

-こうした反対にも関わらず、政府がスクリーンクォーター制を大幅に縮小した場合はどうするのか。

 「まあ、そうなれば映画を捨てる他ない。

韓国映画を韓国政府が踏み潰して、世論を巻き込んで相槌を打たせ、韓国という国は自国映画がなくても大丈夫な国だと言っているのに、私に何を言うことができるのか…」

金明煥(キム・ミョンファン)記者
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