「87年の“ネクタイ部隊”、そして昨年のサッカー・ワールドカップ(W杯)韓日大会の“レッドデビル”、そして親子のみなさん、市庁前広場に集まってください。私たちと一緒に歴史の記憶をたどり、未来の話をしましょう」
「腹の出た腹話術師」という愛称で知られる詩人の金正煥(キム・ジョンファン/49)氏が7日、ソウル市庁前広場を平和と公演のフェスティバルに演出する。
民主化運動記念事業会が主催し、文化観光部、文芸振興院などが後援する民主化行進記念祭『6月、民主大広場』の演出を務めた。
白の半ズボンにサンダルという格好で5日午後に市庁前に現われたこの“演出を手がける詩人”は、ちょうど設置していた大型の野外舞台を見守りながらフェスティバルの構想に懸命だった。
「W杯のベスト4入りは“事件”で、87年6月の民主化大行進は、現在に至る“歴史”ではありませんか。ところが最近、市庁前で行われたいくつかのフェスティバルは、ただ消費するだけのイベントだったようで残念です。“本当の美しさ”を見せたいです」
午後2時にスタートするこの日のイベントは「風鐸つるし」、「デジカメ撮影会」など、市民が直接参加するイベントや、全仁権(チョン・インクォン)、安致環(アン・チファン)らが参加するコンサートに大きく分けられる。
『6月、平和と未来コンサート』というタイトルで、午後8時から始まる公演には、この他にも尹先愛(ユン・ソネ)、ノチャサなどの顔ぶれが登場する。午後10時まで続くこの日のフェスティバルで最も注目しているハイライトを聞いた。
金氏は「16年ぶりに大衆の前に帰って来た舞踊の名人、李愛珠(イ・エジュ)氏の公演と15年ぶりに新曲を発表する『その日が来れば』の作曲家、文昇鉉(ムン・スンヒョン)氏に期待してほしい」と語った。
金氏は「W杯が“大極戦士”を誕生させたなら、87年6月は芸術分野で卓越した舞踊の名人や名歌手を歴史に刻んだ」と、これらを褒め称えた。
当時、李韓烈(イ・ハンヨル)氏の葬儀会場でサルプリチュム(厄払いの舞)を踊ったソウル大学体育教育学科の李愛珠教授(55)は、それ以来初めて市庁前広場でサムル(四物)ノリ(韓国古来から伝わる四種の打楽器で演奏すること)の伴奏に合わせて踊り、「一夜の夢ではなかろう 長年の苦痛を終えた後に」ではじまる『その日が来れば』を作詞・作曲した慶煕(キョンヒ)大学音楽学部の文昇鉉教授(45)は、新曲『百年後には』をソウル市民の前で披露する。
金氏は「子供たちによって新たに開かれる未来と希望を歌った曲になるだろう」としながら、「50人を超える子供たちで構成された合唱団が、この公演のフィナーレを飾る」と語った。
市民が直接参加するイベントでは、林玉相(イム・オクサン/53)氏の“風鐸パフォーマンス”も見逃せない。道路に横たえた木製の造形物に林氏と市民が大人のこぶしほどもある風鐸約2000個をつるし、その「風の声」が世界に響き渡るよう、この世でただひとつの木を立ち上げる。
金氏は「16年前、私たちは数十万、数百万の人波となって民主主義の展望を未来の展望として共有したことがある。ソウル市民全員があの日の衝撃と感動を再び味わい、記念し、そして祝う場にしたい」と述べた。