この初夏、全世界の映画館街を騒がせている『マトリックス リローデッド』に、親しみのある顔が登場している。劇中の役名の通り、映画のキーポイントを握っている重要な役「キーメイカー」を演じた在米韓国人3世のランダル・ダク・キム(59)だ。
「私自身が『マトリックス』の熱狂的なファンなので、キャスティングのオファーを受けた時は、夢かと思いました」
朝鮮(チョソン)日報と行った電子メールによるインタビューで、彼は「作品が持つ重さのために、撮影前からキーメイカーの役について、随分と研究を重ねた」としながら、「こうして準備したものを基本にはするが、配役に対して固定概念を持たず、実際に撮影しながら現場の雰囲気を生かし、キャラクターを膨らませていった」と語った。
映画では、キアヌ・リーヴスとキャリー・アン・モスをはじめとする「人間抵抗軍」とこれらを抹殺しようとするコンピュータが、キーメイカーを巡って一進一退の攻防を繰り広げる。
『007/ダイ・アナザー・デイ』に出演したリック・ユーン、コメディアンとして大活躍するマーガレット・チョなど、米国の舞台で活動している在米韓国人俳優は多いが、『マトリックス リローデッド』のような超大作に韓国系の俳優が中心人物として出演するのは初めてだ。
ランダル・ダク・キムは「主演俳優としてキアヌ・リーヴスの集中力と責任感は驚くべきものだった」としながら、「演技生活は長いが、あれ程までに完壁主義な俳優は、あまり見たことがない」と語った。
ランダル・ダク・キムの祖父母は1910年にハワイへ移住した。彼の韓国名は金ドクムン。『マトリックス リローデッド』のキーメイカーは、ハリウッド映画にありがちな、歪曲されたイメージで登場する東洋系俳優の配役とは違い、肯定的な役であるという点でも注目に値する。
「年が経つほどに、ハリウッドで東洋系俳優の地位が高まっているのを実感する」という彼は「私が『マトリックス』シリーズが好きな理由の一つに、現実の世界のように映画の世界にも、さまざまな人種が登場していること」と語った。
映画界では最近知られるようになったランダル・ダク・キムだが、実は40年以上の演劇舞台のキャリアを持つベテラン演技者だ。ブロードウェーで活躍した彼は、今年のトニー賞の3部門にノミネートされ、好評を博したミュージカル『フラワー・ドリーム・ソング』に出演して注目された。
54歳になって映画界に飛び込んだ理由についてランダル・ダク・キムは「長年、演劇の舞台に立ってきた俳優として、演技に対する理解を広めたかったから」と説明した。
『リプレイスメント・キラー』や『アンナと王様』に始まり、『マトリックス リローデッド』で知名度を高めたランダル・ダク・キムは、今後ハリウッドを代表する東洋系俳優としての活躍が予想される。
ランダル・ダク・キムはハリウッド進出を夢見る韓国俳優たちにこう助言した。「ハリウッドといっても、俳優としての名声を追求するのか、芸術性を追求するのかによって、まったく違った心構えや行動が要求されます。
何よりも自分が本当に求めるものが何なのかを明確にする必要があります」