女優ソン・イェジン「清純なイメージは卒業します!」

 「優しくて純粋な悲恋のヒロインは、もう卒業したいです」

 忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)が注目する女優のソン・イェジン(21)は、こう話し始めた。

 ソン・イェジンはもう、『酔画仙』(2002)で演じた、張承業(チャン・スンオプ/崔岷植(チェ・ミンシク)扮す)が思いを寄せたソウンでも、『恋愛小説』(2002)で演じた難病と戦うスインでも、『クラシック』(2003)で演じた恋愛に苦しむチュヒでもない。

 ソン・イェジンは最近、4作目の映画『初恋死守決起大会』(6月末公開)の撮影を終えた。この映画は笑いの止まらない爆笑コメディーだ。

 イルメ(ソン・イェジン)は、トラブルメーカーの高校生、テイル(チャ・テヒョン)が「君は僕の初恋の人」と言ってしつこく付きまとうと、全国で成績の順位が3000位以内に入れば結婚すると言い放つ。

 ところがテイルは猛勉強をしてソウル大学の法学部に合格するが、今度はイルメの父親(柳東根(ユ・ドングン)扮す)に「司法考試に合格するまでイルメに手を出すな」と釘を打たれる。テイルとの甘い恋を夢見ていたイルメは、キスさえ拒むテイルのために心を痛める。

 「いくらセクシーな表情でテイルを誘惑しても、だめなんです。本当に男なのって言いたくなるほどです。ビキニまで着て、ありとあらゆる努力をします」

 女優はイメージを売る職業だ。ある特定のイメージは女優を生かすことがあるが、時には殺してしまうこともある。ソン・イェジンの商品性を高めた可愛らしい純粋なイメージは、すでに彼女にとっては負担だ。

 「私が演じたキャラクターは皆同じで、とても純粋でした。実際の世の中はそうはいかないでしょう。これからは『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマンのようなイメージをプラスしたいです。私にはそんな退廃的な部分もあるんですよ。禁断の愛も演じてみたいですし…」

 ソン・イェジンは2000年にCMモデルとして芸能界入りした。某ドリンクメーカーのCMで、自転車に乗った少女というイメージだけを持った人々は、全国で180万人の観客動員を記録した映画『クラシック』でソン・イェジンという女優を新たに発見した。

 初挑戦のコメディー『初恋死守決起大会』がクランクアップして間もなく、KBSテレビのドラマ『夏の香り』にキャスティングされるなど、彼女の生活も忙しくなった。


 CM、ドラマ、映画の中で最も大変なのは何かと尋ねると、CMだと言う。「CMのほとんどは起承転結がありません。あれだけ短い時間で見る人にインパクトを与えるのは本当に大変だと思いません?」

 どんよりと曇り、しとしとと雨が降る天気が好きだというソン・イェジンは、快活でいながら、同年代には見られない成熟美がある。周りから「40代のおばさん」とからかわれるほど。そして、自分にとても厳しい。

 「私は自分のことを100点満点で48点だと思っています。世の中を悲観的に見てしまうんです。女優のソン・イェジンは現実のソン・イェジンよりはるかに明るく純粋です。世の中に愛着を持ち、人を信頼する気持ちが強くて悲観的になってしまったみたいです」

 なんと正直なのか。

 『初恋…』で自ら作詞した歌を歌うソン・イェジンは、撮影日記は欠かさないほか、3日に1回のペースで日記をつけるほど、心の内を書き留めることが好きだという。心の奥底に沈んだ感情をすくい取り、深みを増していく女優は珍しい。

 「『アイ・アム・サム』や『グリーンマイル』のように、温かい人間味に溢れた映画が好きです。『私の人生これでいいの?』と思わせてくれるから」

 ソン・イェジンは女優として不倫演技にも魅力を感じるという。叶わぬ恋だけに漂う雰囲気があるからだ。

 「いつかそういう役をやってみたいですね。宋康昊(ソン・ガンホ)さんや薜景求(ソル・ギョング)さんのように、すばらしい俳優とのメロドラマにも魅力を感じます」

 撮影のない日には一日12時間眠り、昼寝も欠かさないという。女優は孤独だ。20歳を越えたばかりの、少女漫画を愛読し、アンドレ・ギャニオンのピアノ演奏を愛聴する女性にはなおさらだ。

 「突然、手紙を書きたくなる時ってありますよね。

素敵なハガキを買ったのに送る相手がいない時、どんなに虚しいかご存知ですか」

朴敦圭(パク・ドンギュ)記者
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