先日ユン・サン(35)はインタビューで「私は大衆的な音楽のコードをよく分かっていると思う。TIMというアーチストがそれを立証した」と語った。
ユン・サンはTIM(22)のデビューアルバム『First』に『愛しています』と『君はやさしい人』の2曲を提供し、TIMは「罪な人ですねあなたは/許可もなくどうして僕の心を奪うのですか…」で始まる曲『愛しています』で、早くも注目されている。
米国生まれのTIM(韓国名:ファン・ヨンミン)は、3年前まではクラシックとジャズを「プロ」並みに歌って演奏するアマチュアだった。合唱で知られる米フィラデルフィアのアッパーダビー高校で合唱団に所属し、ペンシルバニア州・高校合唱団でもテナーとして活躍した。
ジャズバンドでアルトサックスを担当し、ウィントン・マルサリスが率いるリンカーンセンター・ジャズオーケストラの競演大会でも演奏するなど、その実力は実証済みだ。
「音楽をやりたかったんですが、いつもお腹を空かせているようなアーチストにはなりたくなかったんです。それで大学では薬学を専攻して音楽を副専攻にしようと思いました」。しかし、大学入学直後に受けたオーディションは、彼をまったく新しい道へと導いた。
「成功する可能性は低かったんで、だいぶ心が揺れました。でも、この機会を逃したら“罪”になると思ったんです。多くの人々がチャンスを得ようと一生懸命なのに…」
TIMはオーディションでR&Bグループ「98ディグリーズ」の『I Do』を歌った。「たぶんこれからはこんなスタイルの曲を歌わなければならないだろう」と思った。ところが、それは誤算だった。
「次の日にチョ・ソンモの『To Heaven』とチョ・グァンウの『沼』を覚えろって言うんです。声楽をやってきて、R&Bを歌うのも大変なのに、バラードはなお更でした。韓国語の歌詞にも慣れなくて随分と苦労しました」
TIMはまだ韓国語が完璧ではない。それでも早いペースで適応しているようだった。「血液型がA型なので、計算が早くて論理的」という。韓国や日本のように血液型を信じる国も珍しい。
「米国で韓国の曲はまったく聴いていませんでした。友達が好きなH.O.Tやピンクル、ソテジくらいしか知りません。いざ韓国に来て接してみると、韓国のバラードは米国のポップスというよりは、エンリケ・イグレシアスのようなラテンバラードに近いようです」
タイトルトラックの『愛しています』は、TIMの魅力が凝縮された曲。ピアノと管楽器の伴奏に覚えやすいメロディーで、高音が得意なTIMが、極度に抑えた中低音でめりはり良く歌を導く。
TIMは『イエス』と『以前のように』の2曲を直接作曲した。正式に音楽を学んだことはないが、トロンボーンを演奏する父とピアノを弾く母の影響で「自然に作曲ができるようになった」と言う。TIMはR&Bスタイルの『バイバイラブ』や、ミディアムテンポのラテンナンバー『パーティー』を難なくこなしている。
「私のアルバムを一言で表現するならば、“安らぎ”とでも言えるでしょうか。何よりもアルバム自体がとてもピュアです」。「アルバムがピュア」という表現からしてTIMのメッセージが読み取れるようだった。
TIMの課題は早く韓国語の発音に慣れることだ。TIMが得意な高音をそれほど使っていないのは、高音では韓国語の発音が難しいという理由もあった。
「高音だけが自分の長所だとは思いません。声があまりにも高すぎれば硬くなってしまうでしょう。
でもこれからは高音もリラックスして聴いてもらえるように練習したいと思います」