映画『火星へ行った男』の申河均

 15日に公開された映画『火星へ行った男』(金ジョングォン監督)は、せわしないこの世の中ではちょっとあり得ない神秘的なラブストーリーだ。

 「星の王子様のように明るい笑顔が似合う男」と言われる申河均(シン・ハギュン)の見せる愛がそれだ。感情の欠如した最近の世の中に合わない透明なカラーで、子供の頃に読んだ童話のような話だ。

 「シナリオを初めて頂いた時から本当に気に入りました。20代の初めに感じた純粋な感性が秘められていました」

 不良高校生からお茶目な人殺し、聴覚障害者など、さまざまな役をこなしてきた申河均が『火星へ行った男』で演じた役は、初恋を一生胸の内に秘めて生きて行く純粋な男、スンジェ。

 子供の頃に恋したソヒ(金喜善(キム・ヒソン)扮す)のために、徹夜をして書いた手紙を赤いポストに入れた少年スンジェは、故郷の村の郵便局員になって相変わらず彼女の手紙を届け続ける。上京したソヒを思い続けたスンジェは、17年後に偶然、彼女と再会することになる。

 「その純粋な愛と切なさが、観客の心を掴むのです」

 パートナーを務める金喜善について申河均は、最初「完璧な美貌の持ち主」だと思っていたが、実際に共演してみると魅力に溢れた女性だということが分かったという。特に撮影現場の雰囲気を盛り上げるのはプロで、お陰で寒い冬の撮影を楽しく乗り切ったそうだ。

 「スンジェの故郷の村の全景を撮るシーンのために、真冬に海抜900メートルの山に登ったんです。本当に大変でしたが水中シーンに比べれば朝飯前でした」

 映画のファンタジー的な雰囲気を代表するラストシーンのために、申河均は真冬の水の中に飛び込まなければならなかった。

 気温がマイナス10度前後にもなり、セットで撮影しようとしたが、リアリティある映像を撮るため、実際に川で撮影することになったのだ。月岳(ウォラク)山国立公園で行われた撮影は、当然のごとく一度でOKは出ず、NGが繰り返される中、申河均はすっかり凍りついてしまった。

 インタビューの最後に尋ねてみた。

 「現実にスンジェとソヒのようにまったく似合わない人同士の愛が叶うでしょうか?」

 すると、すぐにこう答えた。

 「愛し合う人同士は、お互いに好きだから会うのではないでしょうか。似合うか似合わないかは、他人の視点に過ぎないと思います」

 『火星へ行った男』を色で表現するとしたら青が似合いそうだ。観客の心を静かに染めるような…。

 そして、申河均が実際に一番好きな色も海のような青だそうだ。

スポーツ朝鮮/チョン・サンヒ記者
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