日本のニューエイジピアニストの倉本裕基氏(52)が、18、19日のソウル公演を皮切りに、23日まで大田(テジョン)、大邱(テグ)、水原(スウォン)で5回目の来韓公演を行う。
倉本氏は1998年に初めて国内で紹介されて以降、独特の感受性で国内のファンを魅了した。倉本氏は90年に日本で発表したアルバム『コンチェルティーノ』を最近、国内でもリリースした。
公演を控えた倉本氏に電話インタビューを行った。問い合わせ(02)522-1886
-韓国公演を控えた感想は?
「すごくうれしいです。今回は韓国で演奏したことのない新しい曲の数々を演奏するでしょう。ピアノとオーケストラの協演も期待が大きいです」
-韓国での人気が特に高い理由が何だと思いますか?
「韓国の人々の耳がいいんだと思います(笑)。韓国の人たちは感情に素直ですし、音楽そのものが好きなようです。そして韓国と日本は情緒的に似ている部分があります。西洋の人たちには『クール』とでも言いましょうか、そんな面があるんじゃないでしょうか。ちょっと変わった音楽を好んだり…」
-他のニューエイジピアニストと何が違うと思いますか?
「それは私ではなく、聴き手が決めることです。ただ私は一曲でも完成度を高めようと努力するのみです。起承転結とでも言いましょうか、そうしたものをつけようとしています。他のミュージシャンたちはわざと起承転結を作らないようです。どこから聴いても構わないような曲が多いのです。米国のニューエイジはあまり好きではないし、真似したくもありません」
-学生時代には物理学を専攻したようですが、音楽には役立ちましたか?
「物理学を専攻したのはもう30年前の話です。物理学と音楽は確かに関係があるようです。作曲は音の流れと高低を配する作業です。それは数理的な問題で、作曲には数理的な考え方が要されると思います」
-どうやってインスピレーションを得ますか?
「名曲を繰り返し聴いて演奏をすれば、それが滋養分となります。そうしたものが積もり積もって他の形となって表現されます。それと旅行や絵、写真、散歩などでもインスピレーションを得たりします。実際にはインスピレーションというものはパッとひらめくものではありません。誰かが教えてくれたらいいのですが」
-好きな音楽ジャンルは何ですか?
「クラシックとジャズを好んで聴きますが、良い音楽は何でも聴きます。このごろの日本では決して『良い』とは言えないような音楽が流行っています。テレビのスイッチを点ければ流れてくる音楽、どうしてあんなものを作るのか理解できない音楽が多いです」
-倉本裕基氏のピアノ演奏は独創性がないという批判もありますが
「独創性は厳密に言って『ない』と思います。私は独創性を追い求めていません。誰かに『あなたは独創性がない』と言われれば、『その通りです』と言うでしょう。一風変ったことをするのは簡単なんです。私にもできます」
「逆に今までやってきたスタイルで良い曲を作ることがもっと難しいことなのです。毎日食べる料理を毎回違った味にしようとすれば、大変じゃないですか。親しみやすくて素晴らしい音楽が私にとっては意味があります。
誰も評価してくれなくても絶対に気にしません」