フランスのテレビ番組に登場するジャズシンガーのナ・ユンソン

 ナ・ユンソン(34)がジャズアーチストになったのは偶然だった。しかし、その偶然は彼女をヨーロッパの人気ジャズアーチストの仲間入りをさせた。

 ナ・ユンソンは4日、フランスのテレビ局「Arte」が放送する特集『パリのジャズクラブ』に出演する。7日まで放送されるこの特集番組には、フランスをはじめ、イタリア、ベルギー、ノルウェー、米国など、著名ジャズミュージシャン40組が出演する。先月16日に現地での収録を終えて帰国したナ・ユンソンに会った。

 「韓国の場合はテレビに出演しなければなりませんが、ヨーロッパではクラブ公演をしなければ、アーチストとして評価されません。初めは「私なんかが…」って遠慮がちでしたが、とても良い機会でした」

 指揮者の父親とミュージカル女優の母親を持つナ・ユンソンは、大学で仏文学を専攻した。2年生だった1989年、フランス大使館が主催したシャンソン大会で大賞を受賞したが、「フランス語の教師」になるのあ相変らずの夢だった。

 卒業後には8カ月間、アパレルメーカーに勤務した。音楽に本格的に足を踏み入れたのは、94年に金敏基(キム・ミンギ)が演出したロックミュージカル『地下鉄1号線』でヒロインの中国延辺からやって来た朝鮮族の娘役を演じてからだった。

「私自身、足りない部分が多いと感じたんです。それで音楽を学ぼうと思いました。シャンソンとジャズが一緒に学べるのでフランスを選びました」。

 98年にナ・ユンソンはヨーロッパ初のジャズスクール「CIM」で、ジャズボーカルの学位を取得し、2000年にはCIMで1年間講義も行った。

 現地で出会ったミュージシャンたちと一緒に5人編成のバンド「ユンソン・ナ カルテット」を結成し、毎年フランスツアーを行っている。

 今回の「Arte」の特番は、パリのロンバール通りにある4カ所のジャズクラブで収録された。ナ・ユンソンはそのうち一カ所のクラブで公演した。

 「3時間の間に22曲を歌いましたが、客席後方にジーンズ姿で立っていた人がアンコールで『ベサメムーチョ』をリクエストしたんです。それで『あなたのために歌います』と言うと『とても良かった。本当にありがとう』って言うんです。後で分かったのですが、その人がArteの編成総責任者だったんです」

 ナ・ユンソンはヨーロッパのジャズについて「ジャズに何か境界があるわけではありませんが…米国のジャズよりもう少しオープンな感じで、楽器の配合が多少強め」と語った。

 クラシックの影響を多く受け、実験的なサウンドが多いという説明だ。「ヨーロッパと米国のジャズの違いをよく聞かれますが…、結局『ない』というのが答えのようです」

 ナ・ユンソンは5月から再び、フランスでの全国ツアーをスタートさせる。今年の秋には2ndアルバムもリリースして、国内公演も予定している。

 しかし、主な活動はフランスで行う予定だそうだ。「フランスでは音楽だけでも生活ができます。

それだけ国から手厚い文化支援がなされていますからね」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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